特集

直人の懐剣(ふところがたな)

ハーミット&スカイボルト

鎬を削り合う時、違いがわかる

●時代が生んだ2021 STEEZロッド

 誕生以来15年目の今年、フルモデルチェンジを果たしたSTEEZロッド。キラ星のように輝く15アイテムは、すべてDAIWAロッド開発陣とテスターが精魂こめて創り上げた傑作と自負できるものです。

 STTEZロッドはそれぞれの時代に於ける釣り環境にタイムリーに即応するべく企画・開発されて来ましたが、2021モデルもそのコンセプトは変わらず、というか時代の一歩先を見据えて製作されました。

ですからすべてのアイテムにそのロッドが何故生まれたのか、何故その素材・製法・機能が必要なのかという明確な理由が存在します。

 アルティメットでは今後、それら2021モデルを随時深掘りして紹介させていただく予定ですが、最初に採り上げるのが川口直人プロ監修の2アイテム。

HERMIT.pngHERMIT

SKYBOLT.pngSKYBOLT

 STEEZ C64L-SV・ST HERMIT

STEEZ S65L+ -SV・SMT SKYBOLT

 これらのロッドも当然、今の時代になくてはならないロッドとして、生まれるべくして生まれて来たのです。

●釣れる人、釣れない人。

 その理由は日本に特有なバスフィッシング事情。限られた水域で釣りを競うスタイルは、釣り人の技術の向上、それを支える先鋭なタックルを要求してきました。 

 例えばトーナメント。トップカテゴリーの競技に於いては、初日、二日目、三日目と次第にエリアが絞られ、選手の密集を来します。そこには大船団が発生し、したがって狭いエリアで釣りを競うことになります。つまりはクワセ合戦です。当然、フィネスな釣りの精度が勝敗の分かれ目になります。要するに釣る人と釣れない人がいる。

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船団の中で釣り抜けるには、アングラーのスキルと図抜けた能力を持つタックルが必要になります(B.A.S.S.クラシックでの船団とそれを取り巻くギャラリー)

 

 オカッパリも例外ではありません。週末ともなれば人気スポットにはアングラーが並びます。そこでもクワセ合戦が繰り広げられるのです。

 そうなると微妙な誘いでバスにスィッチを入れるテクニック、微かなバイトを感じ取るアングラーの感性などが違いを産むことになります。同時に、そうした釣りを可能にするクワセに特化したタックルも必要になります。  

ベイトフィネスなどという概念が生まれたのも、そうした環境下での必然でした。

釣れる人と釣れない人の違いが生まれるのはそこです。つまり、他のロッドではできない誘い、他のロッドでは感知しえないバイトを伝えてくれるロッドが釣れる釣れないの差を生み出します。

 2021年、川口直人プロが監修した2アイテムも、そうした状況を最大限に反映して生まれました。

いずれもSTEEZフィネスロッドの系譜に新たな1ページを記すモデルといえます。

そういったわけで今回は現在は河口湖で悠々自適の川口プロに自身が監修したこれらの2アイテムについて語っていただきました。

「2月一杯に出来ることを済ませて、3月になったらJBトップ50の準備を始めるよ」という川口プロは気さくに取材に応じてくれました。

 川口プロはまず「ハーミット」について解説してくれました。

●むしろ操作性を感じるメガトップ

「これはね、2012年のハーミットのリファインモデルです。イメージ通りにできました。開発もスムースでした。長さもアクションも同じです。ですが、大きく変わったことがあります。

まずはブランク。SVF COMPIL-XにX45がフルシールドされたこと。おかげで感度とアクション、操作性が一変しました。2012年から9年後の刷新ですが、素材の進化を感じましたね。驚くほどです。

次にティップにメガトップが採用されたこと。2012ハーミットのティップは通常のソリッドでしたから革命的ですね。

ところでみなさん、メガトップのメリットとして感度を挙げます。確かにボトムの微妙な起伏を伝えてくれる感度は抜群で、実釣においては実に有難いんですが、僕はむしろ操作性を強調したいですね。ワームの移動距離を少なくして、細かく誘いたい時など、このティップがいい仕事をしてくれますよ。

動かせているんだけど、実は動かせたくない......そんな感じ、わかりますか? そういう操作ができるんです。それができないと食わない魚がいるのも事実です。渋い状況では実に頼りになります。

メガトップはキャストも決まりますね。ブレがない。まあ、これはX45なども貢献しているのでしょう。とにかく狙ったところにビシッと撃てる。これもトーナメントでは釣れる釣れないの差を生み出します。

そして意外に大きな進化がグリップ。これは他の2021スティーズロッドに共通している装備ですが、とにかく握りやすい。パーミングしていて隙間ができない。ロッドと指が密着するんです。だからキャストも楽だし飛距離も出る。そして感度も良くなる。これは画期的ですよ。リールシートは単にリールを固定するパーツではないことが理解されるでしょう。これもクワセ系の釣りには強力な武器になります。

2012のハーミットも当時としては画期的なロッドでしたが、これは数倍良くなっていますね。ワーム系の釣り全般、ノーシンカー、ジグヘット、ネコリグ、ダウンショットなどすべてのライトリグで活躍してくれると思います。厳しい試合では頼りになるでしょう」

そして川口プロは「スカイボルト」の解説に移りました。

●ラインがフケても違和感が出るSMT

 「このロッドの開発には少し苦労しました。スピニングロッドはつくづく難しいと感じました。

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スカイボルトのフィールドテイトは再三にわたって行われました

 悩んだのはシェイクです。実は僕がスピニングロッドで行うシェイクには2通りあるんです。

 ・スラックシェイク=たるんだラインを揺らす大き目のシェイク

 ・マイクロピッチシェイク=ビビビっと細かく刻むシェイク。

 この二つです。

DSC01205.JPGたるんだラインを水中に送り込むスラックシェイク

DSC01207.JPG小刻みに刻むマイクロピッチシェイク

 従来はこれを別々のロッドでやっていたんです。つまりスラックシェイクは631UL/LFS-SMT=ファイヤーホークで、マイクロピッチシェイクは601UL/LXS-SMT=ファストホークで行っていました。

 2021スカイボルトはこれら二種類のシェイクをひとつのロッドでできるようにしたんですよ。ここが難しかったですね。

 結局、トップガイドをほんの少しだけ重くすることで、その問題が解決したんです。こういうと簡単に聞こえるでしょうが、そこに行きつくまでにはいろいろ試したのでかなり時間がかかりました。

 二通りのシェイクができるので、ノーシンカーはもちろん、ミドストもできるようになりました。

 これを可能にしてくれたのがやっぱりSMT=スーパーメタルトップでしょうね。金属特有の曲がり方をするので、非常にシェイクに向いています。そして感度もいい。

 SVF COMPILE-XとSMTの組み合わせは最高ですよ。これ以上ない感度で、まさに超高感度です。

 バスがワームをくわえて反転すればどんなロッドでもそのバイトを感じることができますが、ラインが弛んでいる時のバイトは通常のロッドでは分かりません。でもSMTなら感じることができるんです。

DSC01211.JPGラインが弛んでいる時のバイトも感じることが出来る、それがSMTです

 ただし違和感でしかありません。僕はそれにアワセます。「コツン」と来るバイトではないので一般の人にはなかなか分からないんですが、SMTで釣り込んだ僕には分かるんです。

 桧原湖あたりでガイドをしていると、ゲストさんはほぼワームを飲まれる。使用ワームが2から3インチ程度の小さなワームですと、バスが吸い込んだ瞬間に吐き出さない限りノドの奥まで入りこんでしまいます。そうするとそこでハリが掛かって容易に外せません。2lbから2.5lbのライトラインへのダメージも小さくありません。

でも僕はまず飲まれない。バイトがわかるからです。だから上アゴのセンターにフッキングできる。SMTだからです。トーナメントで飲まれたワームを丁寧に外すのは時間のロスですし、何より魚を傷めてしまう危険性があります。だから飲まれることは最悪なのです。

 ラインはフケている。しかもワームとの距離は長い。それでもバイトを感じることが出来る。これは試合では大きいですよ。

 バスがワームを吸い込んでも気が付かない。そして瞬時に吐き出されてしまう。そんな、他のアングラーがまったく気づかないバイトを感じることができる。それは何を意味するのか? そうです。他の人に釣れないバスが釣れるのです。

 船団の中でも釣り抜けることが出来るでしょう。ますます厳しくなるコンディションを制するには、ハーミットやスカイボルトのようなロッドが必要なんですよね」

 とまとめてくれました。まさにこれら2本のロッドは川口プロの懐剣。プロ同士が鎬を削る勝負の世界で必ず結果を出してくれるでしょう。

 いうまでもなく、オカッパリでもとくに混雑したエリアやタフった時には違いを見せつけるでしょう。発売をお楽しみに。

特集

「このリールには『参りました』やね」

清水盛三プロ、ジリオンSV TWを絶賛!

 17年間に亘るUSツアートレイルに区切りをつけ、国内での活動にシフトした清水盛三プロ。2018年暮れから昨年春までは精力的に活動してきましたが、それ以降はご多分にもれずコロナ禍に少なからず影響を受けています。関西地方でも行動が制限させられ、ロケも数本飛んだようです。

 そんな清水プロの近況ですが、意外といっては失礼ですが身の回りの整理などに汗を流している様子。実は清水プロはかなり几帳面なのです。電話取材を行った日も「朝からずっと釣り部屋の掃除をしておったデ」とのこと。

こんな時でもないとそういった細々としたことはできないので、むしろチャンスととらえて出来ることはやっておこう、という心づもりのようです。

 当然、タックルのメンテもいまできることの一つ。その作業の中で、あらためて発見することも多いと語っていました。

 今回はジリオンSV TWに関するお話を伺おうと電話させてもらったのですが、まさにベストタイミング。清水プロも渡りに船という感じで滑らかに語ってくれました。

●めっちゃいいリールが出来ましたね!

 最初に口をついて出たのがタイトルにあるように「参りました」という言葉。それではその時の模様を再現してみましょう。

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 「自慢やないけど、道具にはとことんこだわる僕やさかい、いままでリールに関してはいろいろうるさく言わせてもらいました。

そしてここ何年かの間で数々の新製品を手にしましたが、ジリオンSV TWには文句のつけようがありません。今までのリールの中ではファーストインプレッションは一番いいんやないかな。僕がDAIWAさんにお世話になってリールに携わるようになって以来、ベストやと思います。

 手にした瞬間、合格点を出しました。その理由は、これまで僕が提案し続けてきことがほぼ具体化されていたからだと思います。ホンマ、めっちゃいいリールが出来たと思いました。理想に近い製品です。参りました」

 こう語り始めてくれた清水プロに「いままで提案し続けてきたこととは?」と伺ってみました。

●パワーゲームにも繊細さは必要

「いままで提案し続けてきたことは何かというと、まずは巻き心地です。一切のガタがない精緻な巻き心地です。スピナーベイト、クランクベイトなどを引いている時に手に伝わるルアーの振動、バスがルアーの近くに寄って来た時のいわゆる前タアリ、そういった違和感を伝えてくれる感度が欲しい、一貫してそうお願いし続けてきました。 

もちろん今までのリールも、それぞれの時代においては優秀でした。でも、このジリオンSV TWには敵いません。

 僕はルアーを回収する時などは無造作にハンドルをつかんで巻きますが、いま言った前アタリを感じたい時とか、ここぞというスポットを通す時には指先でハンドルを軽く摘まんで巻きます。その方がルアーの動きを明確に感じることができ、水中の状態を感知しやすいからです。

 そんな時にリールの感度の良さが際立ちます。それは精緻な巻き心地から生まれると思うのです。

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指先で軽くハンドルをつまむ清水プロ。こうするとリールの感度を生かすことができるといいます

 スピナーベイトやクランクベイトなどフーストムービングルアーの釣りはパワーゲームの一種ですが、やたらゴリゴリ巻くだけでは釣れません。意外に繊細さも必要なのです。それを生み出すのがリールの巻き感度。タイトなボディが生み出す精緻なリトリーブが『繊細なパワーフィッング』という矛盾を解決してくれるのです。

 ブレント・エーラーも動画で同じようなことをいってはりましたな。

 ハイテンポで巻きの釣りを繰り広げるアメリカのトーナメントこそ、巻いていて「ン?」という小さな違和感を伝えてくれる感度のいいリールが求められるのです。

 このリールを初めて使った時「アメリカで使いたかった」と僕が叫んだのも理解できるでしょう。

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清水プロは以前からリールの感度にこだわってきました

 この種の釣りは投げて巻くだけの単純な作業が続きます。その行為の中で、キャストする、フッキングする、やりとりしてランディングに持って行くのはアングラーの仕事です。

 でもリトリーブしている時に水中の様子を感じ取ることはテクニック以前の問題です。道具に頼るしかありません。だから僕はリールの巻き感度というものを重要視するんです」

 こう語る清水プロですが、タックルの感度について思い当たるエピソードがあります。 

清水プロはヘラブナ釣りも大好きでかなりの上級者ですが、水中の魚の状態を伝えてくれる唯一の道具がウキです。ウキの感度が悪ければ、魚が寄ってきたこともわかりません。逆にそれを伝えてくれる感度のいいウキを使えば、いずれ訪れるアタリを待つことが出来るわけです。感度の悪いウキを使っていてはどんな名人でも釣れません。

このように、感度のいい道具を使うことは釣りにおいて一番大切なことの一つといえます。

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 感度のいいウキはジリオンSV TWのように水中の状態をもらさず伝えてくれます(「ザ・フィッシング」でヘラブナ釣りの腕を披露した清水プロ)

 清水プロは続けます。

「限りなくスムースな回転は規則的なルアーの動きの中で、ほんのちょっとした異変を伝えてくれます。ジリオンSV TWはそういう繊細な釣りを可能にしてくれると思います。

 このタイトリトリーブ能力はハイパードライブデジギアなどによってもたらされたものでしょうが、このカッチリ感なら初期性能が長く持続してくれると感じました。

 アメリカのトーナメントを闘う上でリールに求められる要素の一つは壊れにくさと言っていましたが、それは国を問いません。日本でも同じです。

 その点、このジリオンSV TWはとてもしっかりしていると思います。まだ使い込んだわけではありませんが、いままで使った限りではそう感じます」

 そして清水プロはこだわってきたもう一つの点について語ってくれました

●リニアに効いてくれるブレーキ

 「リールに関して提案し続けてきたもう一つの要素がブレーキ。今までのブレーキは効きすぎることがあると感じていました。通常のキャストでは問題ありませんが、いざという時、力が入るとブレーキが急に効いてルアーが引っ掛かって飛んで行ったり、狙いの方向からズレたりしたことがあったんです。

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パワーゲームに於いては、状来のリールで思いっきり投げると、ブレーキが効きすぎることがあった......と語る清水プロ

 ところがこのジリオンSV TWのブレーキはその心配がありませんでした。テストではわざとオーバーに力を入れて投げてみましたが、ちゃんとライナーで飛んでいきましたわ。投げ方に応じて効いてくれるんです。SVブーストはダテではないと感じましたね。

 この能力は遠投する時だけでなく、中距離でのピッチング、近距離でのチョイ投げ、逆風に向かっての低弾道キャストにも生きるといえます。

 僕がこのリールを使う時は重めのルアーがメインになり、それゆえ飛びとバックラッシュに関してはSV TWに頼る部分は少ないんですが、とくに初・中級者にはSVブーストは恩恵じゃないですか? 釣りがやさしくなります。軽いルアーも投げられるので、よりバーサタイルに使えるというわけです。

 とくにオカッパリメインの人には、その飛びとバックラッシュしにくさはありがたいでしょう。春先の風が強い日などでも、ストレスなく釣りができます」

そして清水プロはまとめに入りました。

●クラッチの切り心地も素晴らしい

 「僕は右手で投げて左手に持ち替え、右手で巻くタイプですが、そんな時にリール自体が軽くなったことは嬉しいですね。一日釣り続けていると、その差はとても大きいです。疲労度が軽減されるでしょう。

 もっと嬉しかったのはクラッチの改良。というのは従来のリールでアワセた時に、レバーが左手の親指に当たってクラッチが切れてしまうことがよくあったんです。ところがこのジリオンSV TWのクラッチは形状が改良されており、その心配がなくなった。これも提案したことの一つでしたが、気を遣ってくれたみたいです。

 そうでなくてもクラッチの切り心地というのもとても大切で、そのカチッと乾いた音だけでリールの完成度がわかります。釣りをしていて気分がいいです」

 最後に清水プロはジリオンSV TWが生み出す別の意味での効果を強調してくれました。

●パワーフィッシングの新しい世界を拓いてくれる

 「このジリオンSV TWが切り拓く世界は、もっと大きなものがあると思います。それはパワーフィッシングの広がりです。ベイトフィネスを否定するわけではありませんが、スピナーベイト、クランクベイトなどの方が釣れるシチュエーションでもスモラバを投げる人が異様に多いと思うんです。これは実にもったいないですよ。

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 快適にパワーゲームを満喫できるジリオンSV TWは一般アングラーに新しいバスフィッシングを体験させてくれるでしょう......と清水プロは力説していました

 食わず嫌いの一面もあると思いますが、ジリオンSV TWのようなリールを使えば、パワーゲームをやさしく実践でき、それゆえバスフィッシングの新しい世界に足を踏み入れることが出来ると思います。

 そんな大きな可能性をもっているのがこのリールだと思います」

 こう分かりやすく解説してくれた清水プロ。これからこのリールを使って様々なパフォーマンスを演じてくれることでしょう。今後の実釣レポートなどに乞うご期待、といったところです。