Ultimate 7月12日号

特集1

モリゾー、

タトゥーラTWを現場で激解説! その2

超ハイギアのもう一つの意味

 前回、霞ケ浦、北浦水系における清水盛三のタトゥーラTWの動画ロケをレポートしました。そのカチッとタイトなボディはパワーゲームだけでなく、剛性がもたらす精緻な巻心地はむしろ繊細な釣りにもベストだ、という話をご紹介いたしました。

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剛性がもたらす精緻な巻き心地はむしろ繊細な釣りに向いているという清水プロ

 同時に滑らかな巻心地は疲労の軽減にもつながります。今回は朝から夕方まで、各地をラン&ガンして巻き物メインの釣りを展開してもらいましたが、驚くほどに「巻き疲れ」がなかったと言います。スピナーベイトなど抵抗のあるルアーを使い続けると、通常のリールではかなり疲れを感じさせるものです。それでは集中力が続きません。

 「投げて巻くだけの釣りだからこそ、疲れたくない。疲れは微かな前アタリをスルーさせてしまいますから」と清水プロは語っていました。

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疲れないリールが微かな前アタリを伝えてくれる(野田奈川)

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夕マズメを狙って辿り着いた黒部川上流

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無理な態勢でのリトリーブにおいてこそ、軽い巻き心地が頼りになる

 さて、今回はそのロケで得たタトゥーラTWに関するもう一つの盛三節を再現してみましょう。

 それは......ギア比の使い分け。タトゥーラTWには6.3:1、7.1:1、8.1:1の3タイプのギア比があり、それはハンドルロックプレートの色で示されています。つまり6.3:1は金色、7.1:1は赤、8.1:1は紫といった具合です。これなら例えばタックルがボートのデッキ上に並べられている時でも、もしくは岸釣りで二本、ないしは三本のタックルを携行している場合でも、一発で見分けることができます。これって、実際に釣りをしていると想像以上に便利なことが理解されます。 

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(上)ラバージグ用のタックル

ROD:CSYC- 73MH

REEL:タトゥーラTW 100XH( ギア比8.1:1)

(下)スピナーベイト用

ROD:CSYC- 70M+

REEL:タトゥーラTW 100SH(ギア比7.1:1)

 さて、そんな3つのギア比ですが、清水盛三プロの使い分けはこうです。

 6.3:1はクランクベイトやスピナーベイトなど巻きの展開が多い時。

 7.1:1はスピナーベイトやトップウォーター、バズベイトなど投げて早く巻く釣りに使っている。「1タックルで釣行する場合は、このギア比やね。打つ釣りも巻く釣りもできるさかい」という理由です。

 8.1:1はジグ、テキサスなどのワームの釣りやフロッグゲームでも使う。「フロッグでは掛けた後の追いアワセが大事ですので、とくにハイギアが必要やね」。

 このギア比に関して清水プロが力説していたのが、エクストラハイスピードギアの重要性。

 「回収が早いからこのギア比を使うという人が多いようです。それももちろんあります。カバーの奥で魚を掛けた場合も一気に魚を引っ張り出せますしね。」

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エクストラハイスピードギアのメリットは回収スピードだけではないと力説する清水プロ(日も暮れかかっている常陸利根川)

 「でも僕はラインスラックを瞬時に処理できる利点を考慮してこの8.1:1を使っています。 例えばジグやテキサスを撃っている時は、ロッドを上に向けてホールドして、そこでバイトがあったら、すぐにロッドを前に倒してラインスラックを処理しつつ、アワセのためのストロークを確保します。この動作が瞬時にできるからハイギアが貴重なのです。少しでも早くロッドを倒したいのです。こうするとより深いフッキングが可能になります。」

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この状態でバイトを感知した時、瞬時にロッドを前に倒してラインスラックを取る。その時にエクストラハイギアがモノをいうのです

 それだけではありません。掛けたバスが手前に走った時も、すぐにラインを張らせて追いアワセが出来ます。足元で掛かった時も同じです。

 アメリカのプロはフロッグを使う時は大体超ハイギアのリールを使います。同じ理由ですね」

 と、清水プロは解説してくれました。この一連の動作は近日中にUPされる動画で具体的に見ることができます。タトゥーラTWの製品ページに張り付けられた動画をぜひご参照ください。清水プロが力説する意味がよく理解されると思います。

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タトゥーラTWの全貌がわかる動画は要チェックですよ

特集2

タクヤの野望!

 本山博之プロに追いつき、そして......

 7月7日に行われる予定だったW.B.S.第4戦は未明から吹き荒れた爆風のためにキャンセルとなりました。延期ではなく中止です。この結果、9月に行われる2デイの最終戦で年間チャンピオンが決定されることになりました。

 中止の判断はかなり微妙でした。4時半に選手会とW.B.S.本部との話し合いが持たれ、その結果、安全第一で中止の判断を下したようです。

 あの風では無理もないという意見が大半を占めました。大山から参加しているある選手は

 「大風でボートカバーも外せないほどでした。ですからそのまま土浦まで来ました。外したらどこかに飛んで行ってしまいますから」

 と語ったほどです。

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吹き流しも千切れようかという爆風でした(土浦新港)

 同じ日に利根川で行われる予定だったTBCも中止になりました。DAIWAチームの島後英幸選手もトンボ帰りしたようです。

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島後プロはこのボートを引っ張って、ゆっくり帰ったようです。このボートはいつしか「バナナちゃん」と呼ばれるようになったとか......

 しかし、橋本卓哉プロは「やりたかったなー」と残念そうな表情を隠しませんでした。無理とはわかっていても「とにかく試合がしたかったんですよ」と恨めしそうでした。

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いやー残念! と恨めしそうな橋本プロ

 というのも橋本プロには野望があるからです。現在、橋本プロの年間ランキングは4位。といっても1位とはわずか840g差。だから第4戦でいい位置に付けて最終戦を迎えるという青写真を描いていたのです。

 橋本プロは今年のオールスタークラシックに出場しますが、今年W.B.S.のA.O.Y.に輝けば、来年のオールスターのシードも確保できる......だから今年のうちに保険をかけておきたかったのでしょう。余裕を持つことは試合を闘う上で圧倒的なアドバンテージになるからです。

 それだけではありません。写真をご覧ください。W.B.S.の歴代A.O.Y.が紹介されていますが、橋本プロは2009年2010年と連続でA.O.Y.に輝いています。そして2018年にもA.O.Y.の座を獲得した。前回、連続で獲ったということは今年も......という期待を抱かせます。

 そしてW.B.S.で最多A.O.Y.に輝いたのはあの故・本山博之プロ。1993年1994年、1996年1997年と4回獲得しています。当時は飛ぶ鳥を落とす勢いで、文字通り「帝王」でした。TD(チームダイワ)シリーズが炸裂した時代です。

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今年、橋本プロがA.O.Y.に輝くと、4回獲得したレジェンド・本山プロと並ぶことになります

 橋本プロが今年A.O.Y.の座を射止めると、4回目ということで本山プロと肩を並べることになります。そして次に獲ればW.B.S.史上最多となります。これは最高の名誉です。橋本プロの野望は実にそこにあるのです。

 だからこの第4戦もやりたかったのでしょう。

 でも天気には勝てません。

 中止が決まった後はファンの方たちとサッカーに興じ、雨の中なんと3時間ボールを蹴っていました。その辺の破天荒さも橋本プロの魅力ですね。こうなったら最終戦に期待しましょう。

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土浦新港に唯一残ったボート。橋本プロはファンの方たちとサッカーに興じていました。こうした生き様も橋本プロの魅力です