Ultimate 4月24日号

特集

卓哉が魅せた理由(わけ)

逆転でお立ち台に誘ったタックル

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前回はオールスターV3という偉業を生み出した北大祐選手のスピニングリールの絶妙な使い分けをレポートしましたが、今回は5位に入賞した橋本卓哉選手にフォーカスしてみたいと思います。

 というのも、同選手の入賞も非常にドラマチックで、しかもタックルが果たした役割が大きく、それゆえ北選手に負けない濃厚な内容が秘められているからです。

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 ご存知のように橋本選手は初日、潔くノーフィッシュ。しかし二日目は単日1位のスコアを持ち込んでお立ち台を手繰り寄せました。

 こうした派手な立ち回りも橋本選手らしく、本人も試合後のSNSで自らを「めんどくさい人間」と評するほどでした。でもまあ、目立ってナンボがトーナメントプロ。人々の記憶に残ることはとても大事なことです。

 初日に関してはやや反省のトーンを含ませて

 「風のない時に回っておかなければならないエリア、具体的には夜越(よろこし)川や北利根川ですが、そういったスポットでプラン通りの釣りをすることができなかった。要するに試合運びがうまくいかなかったのです」

 と述懐していました。

●牙をむいたSTEEZ AIR TW

 しかし二日目、もはや失うものはないと開き直った橋本プロはスタートするやいなや霞ケ浦本湖を目指し、玉造ふれあいランド横のドック外壁で瞬く間に2本のグッドサイズを獲りました。キロアップ2本は、同プロに逆転のモチベーションを与えるのに十分でした。使用ルアーはシャッド。この模様はライブ中継でも映像が流れたので、ご覧になった方も多いでしょう。

 この2尾がお立ち台ゲットのベースとなったわけですが、それを支えたのが新たに導入したリール、STEEZ AIR TW。その類まれなるパフォーマンスが春先の気難しい魚に口を使わせたといえるのです。

 というのは実は橋本プロ、長い間腱鞘炎に悩まされており、プラの段階から痛くてたまらなかったとのこと。その痛さは「手術レベル」というほどでした。軽いシャッドを投げても、その度に「グリっ」と強烈な痛みに襲われていたのです。

 それでも注射とテーピングで誤魔化しながら練習していたのですが、そこで導入したのがこの新兵器。

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ふれあいランド奥のドック外壁でシャッドを撃つ橋本選手。STEEZ AIR TWが気持ちよくルアーを飛ばしてくれます

 まさに目からウロコだったといいます。

 「いやー、こんなに軽く投げて飛ぶのか!? と驚きました。腱鞘炎も忘れるくらいでした。『えっ!? 何これ?』って感じです。テストでは何度か実感していましたが、実際にフィールドで投げるとその凄まじい威力が実感されました。風の中、揺れるボートからキャストすると、より実戦的なパフォーマンスが体感できますからね。陸の上のテストではわからない感触です。

 二日目に2本の魚を獲った釣りは、ハードボトムに当てる釣りでしたので、ロングアプローチ出来るに越したことはありませんでした。ですからルアーを力まずに飛ばせることはとても有難かったです。そして軽く投げられるから狙ったスポットに正確に入れることができる。これもボートからの釣りでは意外と難しいんですが、気持ちよく撃ち抜ける。

 それだけではありません。低くピュッと飛んでくれるので、風の中では最強です。飛んでいく時に弾道が少しでも浮いてしまうと、軽いシャッドだけに風に流されて狙いを外してしまいます。その点、スナップキャストで低く飛ばせる能力は極めて実戦的でした。

ですから二日目の2本の魚が簡単に釣れたのは、マジ、リールのおかげだったといえます。この2本で一気に気分はアゲアゲで、リミットを揃える自信が生まれました」

 その時を思い起こすように橋本プロは語ってくれました。

 成績に貢献するルアーを本場では「マネーベイト」といいますが、そういった意味ではSTEEZ AIR TWは「マネーリール」ということができるでしょう。

Tackle data for Shad

Rod: STEEZ 631 LFB-LM ライトニングⅡ

Reel: STEEZ AIR TW

Line:モンスターブレイブ 10LB

Lure: Shad

 こうして2本の魚を獲り、逆転お立ちに確かな手ごたえを感じた10時前、橋本プロが願っていた通り風が吹き始めました。

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風が吹き始めたタイミングで移動する橋本選手

 「待っていたぜ、この風」とばかり橋本プロは東浦をラン&ガン。ビッグスコアを固められる3本目の魚を求めて八木干拓、園部川河口、恋瀬川河口など、東浦の名所を撃って周りました。投入したルアーは言うまでもなく得意のスピナーベイト。この必殺ベイトを投げまくり、ついに1.5kgを仕留めたのです。

 といってもイージーに釣れたわけではありません。丁寧に、とにかく丁寧に気持ちを込めて投げて巻く、この飽くなき繰り返しを100回1000回と続けた結果の1本だったのです。

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東浦、石田ドック。BASSER取材艇の津留崎健カメラマンが見守る前でゲームを展開する橋本選手

 

Tackle data for Spinnerbait

Rod: BLACK LABEL +661MRB-G

Reel: STEEZ SV TW SLP セミオーダーシステム

Line:モンスターブレイブ 14LB

Lure: スピナーベイト DW

 こうして推定4kg近いウェイトを確保した橋本プロは、もはや入れ替えは不可能に近いと判断。ババ荒れの霞ヶ浦本湖、外浪逆浦を走り抜け、余裕を持って帰着。二日目のトップウェイトを見せつけてライブ中継を大いに盛り上げたのでした。

 橋本プロの入賞は、STEEZ AIR TWなどの画期的ニュータックルは結果に如実に貢献することを証明したものといえましょう。

 その唯一にして無二の理由は「釣れるから」・・・それ以外にありません。