Ultimate 6月26日号

特集

トータルタックルが切り拓く

次世代クランキング!

主役はSTEEZ SQUARE 100

監修者・赤羽修弥プロに聞く

 まだまだ気を緩めることはできませんが、コロナ禍との付き合い方も次第にコツを掴んできたような日本社会。我々の活動も徐々に自由さを取り戻しつつあります。野球やサッカー、ゴルフなどのプロスポーツにおいても、無観客などの制約の中でなんとかゲームを開催する方向に向かっているようです。

 バストーナメントも例外ではありません。アメリカではメジャートーナメントも再開しました。日本でも手探りながらトーナメント復活のキザシが見えています。

 3月から自粛を強いられていたDAIWAチームのメンバーも「いよいよ」とばかりに気合が漲ってきたようです。

 W.B.S.プロの赤羽修弥プロもその一人。自粛期間中は膨大に膨れ上がったタックルや書籍の整理など、普段できないことを行って「その時」を待っていたようですが、ジワジワと戦闘モードに軸足を移しているようです。

 長い間待たされたトーナメントプロがこのように「その日」を待望するのは当然ですが、赤羽プロにはもう一つ大きな理由があるのです。それは最近発売になり話題を集めているクランクベイト=STEEZ SQUARE 100! 自身が監修したこのスモールクランクを早く実戦で使ってみたいという欲望に駆られているのです。

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早くこのクランクベイトを実戦投入したいという赤羽プロ

 赤羽プロといえばネコリグやテキサスリグなどの撃ちモノが得意なイメージがあり、もちろんその解釈は正しいのですが、クランクベイトなどの巻き物の釣りも非常に得意で、ルアーそのものの知識もかなり深いものがあります。

 以前、W.B.S.が主催していたオカッパリの大会に赤羽プロがゲストに呼ばれたことがありました。霞ケ浦の東浦で開催されたのですが、同プロはイベント後も菱木川で寸暇を惜しんでボックスに満載されたシャロークランクのアクションを一つ一つ確認、研究していました。「アメ物」もたくさん含まれていました。

すでに何十年もそんな行為を繰り返してきた赤羽プロですから、シャロークランクの泳ぎは何百パターンも頭に入っていることでしょう。

 そんな赤羽プロが監修したSTEEZ SQUARE 100とはどんなルアーなのか、超激戦区と言われるシャロークランクの世界で違いを見せる秘密とは何なのか?  編集部はご本人から直接お話を伺うために足立区に飛びました。

●スモールクランクはデカバスに強い

 「このクランクベイトはどんな人にも簡単に使ってもらえ、しかもよく釣れることを主眼に開発しました」

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「どんな人にも簡単に釣れるクランクベイトを目指しました」と語る赤羽プロ

 赤羽プロは現物を手に取りながら解説を始めてくれました。

 「一番の特長はキビキビした動きです。だからとくにハイプレッシャー下で効果的です。泳ぎのバランスも優れていますので、スローに引いてもしっかり水を掴んで泳いでくれ、早巻きにもバランスを崩すことはありません。

 キビキビ泳ぐ小さなクランクベイトというものは、バスがスローな時期にもよく釣れるんです。例えば今のようなアフターの時期、通常はノーシンカーなどで食わせたい時でもバスはスモールクランクにもよく反応します。

 活性が高い時期は言うまでもありません。つまり魚がディープに落ちる厳冬期以外は通年釣れるルアーといえます。霞ケ浦などを初め、全国のシャローウォーターで活躍してくれるでしょう。もちろんボート、オカッパリを問いません。

 キビキビしたアクションを生み出しているのは全体のバランスで、これは相当突き詰めました。浮力、リップの形状、角度、アイの位置、フックの大きさなどの要素をとことん追求しました。

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障害物回避能力も含めて、泳ぎのバランスを追求した結果のスクエアーリップ

 47mmというボディサイズの中でいま言った全ての要素を解決しなければならないので、開発にはかなり苦労しました。ルアーというものは、小さくなればなるほど製作は難しくなるものです。

ですが小さなクランクベイトは不思議とデカバスに強い。だから#6というこのサイズにしては大き目のフックを搭載しています」

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♯6というフックサイズでも互いに干渉しない

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その秘密はこのテール形状

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スイミング時のフッキング率も秀逸

●飛びとアクション、その矛盾を解決したものは?

 「ハイプレッシャー下でのクランキングにおいては、ルアーの飛距離が重要になってきます。飛べばそれだけ釣れる確率は高まります。通常、飛距離を求めるとどうしても重心移動を搭載したくなります。でもそうすると肝心のアクションが犠牲になる。

重心移動は飛ぶことは飛びますが、立ち上がりがワンテンポ遅れるなどのバラツキが生じる。だからアクションを優先させると固定重心という結論に到達します。でも飛んだ方がいい。つまりアクションと飛距離は互いに矛盾する要素なのです。これは永遠の課題ともいえます。

そこでクローズアップされてくるのが優れたリール。STEEZ CT SV TW やSTEEZ AIR TWそしてALPHAS AIR TWなどの小口径スプールのリールを使うことで飛距離、アキュラシーの問題は一気に解決するのです。

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 飛ぶといっても、こうしたクランクベイトの釣りは大遠投する釣りではありません。中距離をテンポ良く撃って行く釣りです。それでも飛んだ方がいいことは間違いありません。軽く投げて飛んでくれるということは正確なスポットを撃てますし、疲れも減ります。

 そもそもSTEEZ SQUAREは小ぶりなので風の抵抗も少なく、普通のリールでもかなり飛びますが、これらのリールを使えば軽いキャストでも驚くほど飛んでくれます。こういうリールがあったからSTEEZ SQUARE 100の開発をアクション重視の方向に向けることができたのです。 

 タイトアクションを生み出す固定重心。それを飛ばしてくれるぶっ飛びリール。このように、次世代のクランキングはタックルトータルで考えるべきです」

 これからのバスフィッシングはルアーやリール、ロッドなどが互いに機能し合う総合力がモノをいう......赤羽プロはそういいたかったのでしょう。

●しつこくトレースコースを変えてみる

 赤羽プロのクランキングはとにかく基本に忠実です。常に「投げて巻く、それだけです」と解説します。トゥィッチや三角巻きなどもほとんどしません。そうした規則的な動作の繰り返しが前アタリなどの違和感を伝えてくれるのでしょう。

 つまりルアー、リール、ロッド、ラインなどの性能を100%信頼することがこの釣りの真髄、ある意味タックル任せの釣りでもあります。

 ですがアングラーに出来ることもある、いや必ず実行してほしいことがある、と赤羽プロはいいます。それは、トレースコースを変えること。この点は力説しています。

 「例えば石積みを攻める時なども、トレースコースを変えてみることが大切です。右から流したら次は左からと、大胆な変更もアリですし、細かく角度を変えて丁寧に引いてみることも効果的です。角度を少し変えただけで食ってきた経験は何度もありますから」

 「ボトムに当てれば喰う時と、そうでない時がありますからボトムタッチは状況によります。基本はロッド操作でボトムを少し掠めるぐらいですね」

●推奨タックルは?

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このタックルシステムで釣りまくる、と鼻息も荒い赤羽プロ

 赤羽プロがエースタックルとしてSTEEZ CT SV TWと組み合わせているロッドはSTEEZ 651MLRB-LM(ブリッツ)ですが、

 「新製品のBLACK LABEL LG 632MLFBも良さそうな気がします」とのこと。

 ラインはスティーズフロロの10ないし12lb。「それでも良く飛んでくれます」ということで、完璧なクランキングのシステムタックルの出来上がり。

 「8色のカラーバランスも整っているし、来たるべきシーズン開幕がますます楽しみになってくるクランクベイトです」

 赤羽プロは期待に目を輝かせながらこうまとめてくれました。