Ultimate 2月12日号

特集

「このリールには『参りました』やね」

清水盛三プロ、ジリオンSV TWを絶賛!

 17年間に亘るUSツアートレイルに区切りをつけ、国内での活動にシフトした清水盛三プロ。2018年暮れから昨年春までは精力的に活動してきましたが、それ以降はご多分にもれずコロナ禍に少なからず影響を受けています。関西地方でも行動が制限させられ、ロケも数本飛んだようです。

 そんな清水プロの近況ですが、意外といっては失礼ですが身の回りの整理などに汗を流している様子。実は清水プロはかなり几帳面なのです。電話取材を行った日も「朝からずっと釣り部屋の掃除をしておったデ」とのこと。

こんな時でもないとそういった細々としたことはできないので、むしろチャンスととらえて出来ることはやっておこう、という心づもりのようです。

 当然、タックルのメンテもいまできることの一つ。その作業の中で、あらためて発見することも多いと語っていました。

 今回はジリオンSV TWに関するお話を伺おうと電話させてもらったのですが、まさにベストタイミング。清水プロも渡りに船という感じで滑らかに語ってくれました。

●めっちゃいいリールが出来ましたね!

 最初に口をついて出たのがタイトルにあるように「参りました」という言葉。それではその時の模様を再現してみましょう。

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 「自慢やないけど、道具にはとことんこだわる僕やさかい、いままでリールに関してはいろいろうるさく言わせてもらいました。

そしてここ何年かの間で数々の新製品を手にしましたが、ジリオンSV TWには文句のつけようがありません。今までのリールの中ではファーストインプレッションは一番いいんやないかな。僕がDAIWAさんにお世話になってリールに携わるようになって以来、ベストやと思います。

 手にした瞬間、合格点を出しました。その理由は、これまで僕が提案し続けてきことがほぼ具体化されていたからだと思います。ホンマ、めっちゃいいリールが出来たと思いました。理想に近い製品です。参りました」

 こう語り始めてくれた清水プロに「いままで提案し続けてきたこととは?」と伺ってみました。

●パワーゲームにも繊細さは必要

「いままで提案し続けてきたことは何かというと、まずは巻き心地です。一切のガタがない精緻な巻き心地です。スピナーベイト、クランクベイトなどを引いている時に手に伝わるルアーの振動、バスがルアーの近くに寄って来た時のいわゆる前タアリ、そういった違和感を伝えてくれる感度が欲しい、一貫してそうお願いし続けてきました。 

もちろん今までのリールも、それぞれの時代においては優秀でした。でも、このジリオンSV TWには敵いません。

 僕はルアーを回収する時などは無造作にハンドルをつかんで巻きますが、いま言った前アタリを感じたい時とか、ここぞというスポットを通す時には指先でハンドルを軽く摘まんで巻きます。その方がルアーの動きを明確に感じることができ、水中の状態を感知しやすいからです。

 そんな時にリールの感度の良さが際立ちます。それは精緻な巻き心地から生まれると思うのです。

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指先で軽くハンドルをつまむ清水プロ。こうするとリールの感度を生かすことができるといいます

 スピナーベイトやクランクベイトなどフーストムービングルアーの釣りはパワーゲームの一種ですが、やたらゴリゴリ巻くだけでは釣れません。意外に繊細さも必要なのです。それを生み出すのがリールの巻き感度。タイトなボディが生み出す精緻なリトリーブが『繊細なパワーフィッング』という矛盾を解決してくれるのです。

 ブレント・エーラーも動画で同じようなことをいってはりましたな。

 ハイテンポで巻きの釣りを繰り広げるアメリカのトーナメントこそ、巻いていて「ン?」という小さな違和感を伝えてくれる感度のいいリールが求められるのです。

 このリールを初めて使った時「アメリカで使いたかった」と僕が叫んだのも理解できるでしょう。

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清水プロは以前からリールの感度にこだわってきました

 この種の釣りは投げて巻くだけの単純な作業が続きます。その行為の中で、キャストする、フッキングする、やりとりしてランディングに持って行くのはアングラーの仕事です。

 でもリトリーブしている時に水中の様子を感じ取ることはテクニック以前の問題です。道具に頼るしかありません。だから僕はリールの巻き感度というものを重要視するんです」

 こう語る清水プロですが、タックルの感度について思い当たるエピソードがあります。 

清水プロはヘラブナ釣りも大好きでかなりの上級者ですが、水中の魚の状態を伝えてくれる唯一の道具がウキです。ウキの感度が悪ければ、魚が寄ってきたこともわかりません。逆にそれを伝えてくれる感度のいいウキを使えば、いずれ訪れるアタリを待つことが出来るわけです。感度の悪いウキを使っていてはどんな名人でも釣れません。

このように、感度のいい道具を使うことは釣りにおいて一番大切なことの一つといえます。

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 感度のいいウキはジリオンSV TWのように水中の状態をもらさず伝えてくれます(「ザ・フィッシング」でヘラブナ釣りの腕を披露した清水プロ)

 清水プロは続けます。

「限りなくスムースな回転は規則的なルアーの動きの中で、ほんのちょっとした異変を伝えてくれます。ジリオンSV TWはそういう繊細な釣りを可能にしてくれると思います。

 このタイトリトリーブ能力はハイパードライブデジギアなどによってもたらされたものでしょうが、このカッチリ感なら初期性能が長く持続してくれると感じました。

 アメリカのトーナメントを闘う上でリールに求められる要素の一つは壊れにくさと言っていましたが、それは国を問いません。日本でも同じです。

 その点、このジリオンSV TWはとてもしっかりしていると思います。まだ使い込んだわけではありませんが、いままで使った限りではそう感じます」

 そして清水プロはこだわってきたもう一つの点について語ってくれました

●リニアに効いてくれるブレーキ

 「リールに関して提案し続けてきたもう一つの要素がブレーキ。今までのブレーキは効きすぎることがあると感じていました。通常のキャストでは問題ありませんが、いざという時、力が入るとブレーキが急に効いてルアーが引っ掛かって飛んで行ったり、狙いの方向からズレたりしたことがあったんです。

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パワーゲームに於いては、状来のリールで思いっきり投げると、ブレーキが効きすぎることがあった......と語る清水プロ

 ところがこのジリオンSV TWのブレーキはその心配がありませんでした。テストではわざとオーバーに力を入れて投げてみましたが、ちゃんとライナーで飛んでいきましたわ。投げ方に応じて効いてくれるんです。SVブーストはダテではないと感じましたね。

 この能力は遠投する時だけでなく、中距離でのピッチング、近距離でのチョイ投げ、逆風に向かっての低弾道キャストにも生きるといえます。

 僕がこのリールを使う時は重めのルアーがメインになり、それゆえ飛びとバックラッシュに関してはSV TWに頼る部分は少ないんですが、とくに初・中級者にはSVブーストは恩恵じゃないですか? 釣りがやさしくなります。軽いルアーも投げられるので、よりバーサタイルに使えるというわけです。

 とくにオカッパリメインの人には、その飛びとバックラッシュしにくさはありがたいでしょう。春先の風が強い日などでも、ストレスなく釣りができます」

そして清水プロはまとめに入りました。

●クラッチの切り心地も素晴らしい

 「僕は右手で投げて左手に持ち替え、右手で巻くタイプですが、そんな時にリール自体が軽くなったことは嬉しいですね。一日釣り続けていると、その差はとても大きいです。疲労度が軽減されるでしょう。

 もっと嬉しかったのはクラッチの改良。というのは従来のリールでアワセた時に、レバーが左手の親指に当たってクラッチが切れてしまうことがよくあったんです。ところがこのジリオンSV TWのクラッチは形状が改良されており、その心配がなくなった。これも提案したことの一つでしたが、気を遣ってくれたみたいです。

 そうでなくてもクラッチの切り心地というのもとても大切で、そのカチッと乾いた音だけでリールの完成度がわかります。釣りをしていて気分がいいです」

 最後に清水プロはジリオンSV TWが生み出す別の意味での効果を強調してくれました。

●パワーフィッシングの新しい世界を拓いてくれる

 「このジリオンSV TWが切り拓く世界は、もっと大きなものがあると思います。それはパワーフィッシングの広がりです。ベイトフィネスを否定するわけではありませんが、スピナーベイト、クランクベイトなどの方が釣れるシチュエーションでもスモラバを投げる人が異様に多いと思うんです。これは実にもったいないですよ。

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 快適にパワーゲームを満喫できるジリオンSV TWは一般アングラーに新しいバスフィッシングを体験させてくれるでしょう......と清水プロは力説していました

 食わず嫌いの一面もあると思いますが、ジリオンSV TWのようなリールを使えば、パワーゲームをやさしく実践でき、それゆえバスフィッシングの新しい世界に足を踏み入れることが出来ると思います。

 そんな大きな可能性をもっているのがこのリールだと思います」

 こう分かりやすく解説してくれた清水プロ。これからこのリールを使って様々なパフォーマンスを演じてくれることでしょう。今後の実釣レポートなどに乞うご期待、といったところです。