Ultimate 3月26日号

特集

藤田京弥の二つの勝因

超絶テクとクイックドラグ

 3月13,14の両日、奈良県の津風呂湖で開催されたJBマスターズ第一戦に於いて、DAIWAチームの藤田京弥プロが凄まじい勝ち方で優勝を遂げました。

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 奈良県の津風呂湖で行われたJBマスターズ第一戦はレンタルボート戦。トローリングモーター(エレキ)は2馬力までという制限のもとで行われました(PHOTO:JBNBC)

 

なんといってもJBトーナメントのトップカテゴリー、トップ50のゼッケン1番ですから、戦前から優勝候補の筆頭に上げられていたのも当然の同プロですが、終わってみれば当たり前のように勝ってしまうという、周囲を唖然とさせる強さでした。

 試合から2週間経過したいま、あらためて冷静に試合を振り返ってみても、京弥プロの恐るべき戦略、そしてそれを支えたタックルが浮き彫りになってきます。そして京弥プロに勝利をもたらした二つの勝因が見えてきたのです。

 一つは魚を掛けるまで、そして二つ目は魚を掛けてから......京弥プロ勝った理由はそれぞれに存在しました。それでは一つずつ分析してみましょう。

●一つ目の勝因 超絶テクニック

 試合の経過をおさらいしてみましょう。京弥プロは雨の初日に5本7,575gでトップ発進、晴れた二日目は2本3,044gで単日4位。この結果2位に2ポイント差で優勝を遂げました。

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 京弥プロは初日5本7575g、二日目は2本3044gという圧倒的なウェイトを持ち込みました (PHOTO:JBNBC)

京弥プロがプラに費やしたのは約1週間。最初は「小魚っぽいワームのジグヘッドをミドストさせて普通に釣れていました」。が、ほとんどの選手がその釣りを行っていたため、次第にスレて来て前日は急にスローになってしまったといいます。

 そこで何か打開策はないかといろいろ考えた京弥プロは、1cmほどにカットしたワームを0.5cmの超ショートリーダーダウンショットにリグり、魚探を使ったシューティングで中層を回遊しているビッグバスを狙うと、いとも簡単に釣れるという釣り方を発見したのです。

 「それは衝撃的でした。こんなに釣れるんだったら優勝しないとおかしい。いや絶対に優勝する」

 と確信したそうです。

 初日はその釣りを展開して思い通りに7本獲りました。入れ替えを繰り返して7,575gという破壊的なスコアを作りだしたのです。

 京弥プロは勝因の一つはそのルアーを発見したこと、そしてそのルアーで実行した釣り方だと試合後に語っていました。

京弥プロは試合後のインタビューでもその釣り方を隠そうとはしませんでした。

※釣り方の詳細はJBのサイトにUPされています。

https://www.jbnbc.jp/_JB2021/view_result.php?t_id=10080&page=story

 特筆されるのはその釣り方で、多くの人が理解できないほどの宇宙人的難解レベルだったことです。試合中、他の選手が見ていてもどんなルアーでどうアプローチしているのか、まったく気づかれなかったそうです。

 確かに10メーターから20メーターの水深で見つけたバスに1cmのルアーの2.7gダウンショットをミドストさせるメソッドは常人には容易に理解できません。それをあっさりやり遂げてしまうところが京弥プロなのです。

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この試合はある意味魚探サイト合戦でした。多くの選手がその釣りをチョイスしていました。ところが同じ釣りをしていても京弥プロの場合はルアーとアプローチに卓越したものがあり、それが釣果の差を生み出していたのです(PHOTO:JBNBC)

一般的にプロはそういった画期的なリグ、メソッドは隠そうとするものです。ですが京弥プロはフルオープン。試合後は無頓着に公開していました。つまりそれほど技術的に自信があったともいえます。

ところがテクニックはともかく、この魚探シューティング自体は多くの選手が実行していたので、二日目にはさすがにバスに見切られ、1本は同じ釣りで獲ったものの、後が続かず苦労したようです。

一時は「これはひょっとすると負けるかも」と不安になったそうです。マスターズはポイント制が採用されており、初日に7kg以上釣って来て首位でもポイントは120で、二位の4966gの選手とは1ポイント差しかありません。

ですから二日目の結果次第では首位陥落という事態も十分にありえたのです。

そこで投入したのがアラバマリグ。河口湖で練習を重ねたおかげで貴重な1本を獲り、優勝を手繰り寄せたのです。

これが京弥プロの一つ目の勝因、つまり類まれなルアーとアプローチで魚を掛けたことです。

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京弥プロのタックルとリグ。ルビアス エアリティとリョウガ、そしてバザーズワームフックが勝利に貢献しました(PHOTO:JBNBC)

●二つ目の勝因 ルビアス エアリティのクィックドラグ

 京弥プロが勝因に挙げたもう一つの要素はタックル、具体的には、藤田京弥等のトッププロの要望を受けてDAIWAが開発した、ルビアス エアリティFC LT2500S-XH-QD のクイックドラグでした。つまり魚を掛けた後の勝因です。

 「それもかなりキモでした。あれがなかったら優勝はなかったと思います」

 京弥プロは確信を持って断言してくれました。

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優勝の要因と京弥プロが断言したのはルビアス エアリティ

 京弥プロが使ったラインはフロロの3lb。初日にウェイインした魚の平均ウェイトは約1.5kgでした。つまり約3lb。

オープンウォーターでの釣りでしたが、だからこそ掛かった魚は急激に下に突っ込みます。しかもでっぷりと太った1.5kg。そこに瞬間的に3lb以上の力が加われば、間違いなくラインブレイクを起こします。だからドラグの優劣がモノをいうわけです。

京弥プロは

「ドラグがあっても通常のものでは絶対に間に合いません。ギュギューンと走られて終わりです。そこをドラグノブ半回転で瞬時に調整できるクイックドラグがあったので不意の突っ込みに対処できたのです。そして返す刀で寄せる時は瞬時に締める。これがクイックドラグの超絶メカなのです」

 と興奮気味に語っていました。

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ドラグノブ半回転で即座に調整できるクイックドラグはビッグバスの急な突っ込みもいなしてくれます

 そして

 「初日に釣った7本の魚はみんなやたら引きましたがノーミスで獲れました。あのドラグがあったからです。ホント、今回の勝利はルビアス エアリティのおかげです」

 とまとめてくれました。これが二つ目の勝因です。

 実は京弥プロは古くからクイックドラグの必要性を痛感しており、これまでイグジストFC LT2500S-CXHにこのクイックドラグのプロトモデルをテストして使用していましたが、このほどクイックドラグが標準装備されたルビアス エアリティを使用したというわけです。

 さらに二日目に優勝をもたらした1本を獲ったアラバマリグに使用したリールはリョウガ1016。JBトップ50のA.O.Y.記念に贈呈された藤田京弥モデル(プロトモデル)で今後の開発も視野に入れた、ギア比7.3:1の世界に一つのリールです。

 ちなみに津風呂湖でのシューティングに使用したフックはバザーズ ワームフック SS FN ♯4、サングラスが TLX 015(藤田京弥モデル)イーズグリーンでした。

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通常のサイトフィッシングに不可欠なサングラスTLX 015(藤田京弥)モデル

 

 こうしてマスターズ初戦に堂々の勝利を飾った京弥プロ、次の目標は4月2日から4日にかけてのJBトップ50第一戦、遠賀川戦です。すでにプリプラも終え、虎視眈々と連続優勝を狙っています。

 「バスフィッシングほど面白い釣りはない」と常日頃から口にしている京弥プロだけに遠賀川でも笑顔で勝ってしまいそうな雰囲気アリアリでした。

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4月初頭のJBトップ50第一戦遠賀川戦でもこのような光景が見られるのか? 実に楽しみです (Photo: JB/NBC)

 そしてDAIWAチームの若手、山下尚輝プロは17位でフィニッシュしました。決して釣れているとはいえない中、二日間ともなんとか魚を持ってくるしぶとさはさすがです。トップ50遠賀川戦にも期待しましょう。

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苦しい中でも二日間、魚を持ち込んだ山下尚輝プロ(PHOTO:JBNBC)

●室町雄一郎にもご声援を!

 今年度からJBマスターズ ゼッケン3の室町雄一郎プロもDAIWAチームの一員に加わりました。ご声援をお願いいたします。

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2015年JBマスターズ:DAIWA CUP(野尻湖)で優勝を飾った室町プロ。実力も充分,今後に期待!!(Photo: JB/NBC)