特集1
The 朝練
The early bird catches the worm
The early bird catches the worm……早起きの鳥は虫を捕まえる、転じて「早起きは三文の得」という意味ですが、夏の時期に釣り人はこの言葉を最大に実感することができます。夜明けが早いので、早朝から釣りが出来るからです。ですからこの時期、多くのアングラーが朝マズメを釣ろうと未明からサオを出します。その目的は様々で、単に釣果を求める人もいますし、練習の意味でボートを出す人もいます。それがいわゆる「朝練」です。
●この時期にしかできない「朝練」
DAIWAチームの草深幸範プロも、この夏はアクティブに朝練に励んでいます。同プロの場合、地理的な環境に恵まれていることも事実です。自宅も会社も東京の西部、そして手近に相模湖という魅力的なレイクがあるからです。
ちなみに同プロの朝練スケジュールはこんな感じです。
前夜10時前後、仕事を終えて帰宅。
12時、就寝。
3時30分起床。
3時45分、自宅発。
4時30分、相模湖着。
5時 出船
8時 釣り終了、帰宅、シャワー。
9時 出社
つまりほぼ4時間弱の睡眠で朝練に通っているわけです。今年はこのペースで週に3回から4回、相模湖で朝練を行っています。実釣時間は3時間ほどですが、内容はかなり濃いものがあるようです。
草深プロに朝練の目的を聞きますとこう答えてくれました。
「釣ることそのものよりも、アングラーとしての将来につながるからです。リザーバーの経験値が少ないと思っていますので、相模湖で釣りをすることで少しでも勉強になれば……そう考えて朝練に来ています。早朝から釣りが出来るのはこの時期だけですからね」
7月3日、そんな草深プロの朝練に同行させてもらいました。
5時ジャスト、柴田ボートさんから出船。今回は効率を考えてエンジン付のボートを借りました。すでに多くの釣り人が目的のスポットを目指しています。
日蓮大橋を潜って秋山川上流へ。本湖では濁っていた水が次第にクリヤーになってきました。やっぱり夏の早朝は格別です。最高の雰囲気です。This is reservoir って感じです。
一路秋山川を目指す草深プロ
秋山川中流からシャッドテールのノーシンカー、スピナーベイト、ギル系ワームを交互に使いながらチェックしていきます。若干減水していましたので、オーバーハングの中に入ってバンクの際もチェックしていきます。
ところどころで魚も目視できます。しかし簡単には口を使ってくれません。草深プロはどんどん上にボートを進めます。
●朝練でなければできないこと
やがてギル系ワームを岸際に投げて、秘密のリトリーブを行っていた草深プロのストライクフォースがバイトを察知しました。表層直下で喰ったのです。一気にセット・ザ・フックを決めると、ロッドがグーンとしなりました。どうやらナイスサイズのようです。
ロッドのパワーを利してボート際に寄せてハンドランティングした魚は約1.5kg。リザーバーの魚らしい素晴らしいプロポーションでした。
ギル系ワームにズッシリと重いバイトが!
草深プロは相模湖での朝練では必ず魚を釣っているそうですが、この日も幸先よく1時間で釣果を記録しました。ルアーのトレース方向、アクションの付け方、バイトの察知、アワセ、取り込みなどの一連の動作を通してのこの一本も、草深プロに貴重なデータを与えてくれたことでしょう。経験値というものはこうして積み重ねられていくものです。
ストライクフォースが仕留めた1.5kg!
その後はシャッドテールのノーシンカーをメインに釣り上がって行きました。草深プロは釣りながら語ってくれました。
「今使っているロッドはブラックレーベルの681MRBですが、私はスピナーベイトやシャッドテール系ワームなどの巻き物にはブラックレーベル・プラスの6101MRBも使っています。
どちらも同じMRBなんですが、微妙に違います。
681MRBは先端から綺麗にグラデーションの様に曲がるレギュラーテーパーで、近距離のアキラシーキャストに向いています。一方、6101MRBは先端が曲がらないスティッフなティップとベリーで急激に曲がる緩急のはっきりしたレギュラーファストテーパーでスラックラインリトリーブが容易で、スラックが出てる状態からフッキング出来るロッドです。
こうして同じMRBでも使い分けが必要なんです。私はロッドの使い分けに関しては、それぞれの釣りにベストなパフォーマンスを演じてくれるものをチョイスしています。エアエッジでもクロノスでも、適材適所で使えるものはたくさんあります」
そして草深プロは続けます。
「私が朝練に励むもう一つの理由が、こうして使い分けを実際に試すことができるからです。トーナメントのプラなどでは、こうしたことはできません。朝練だからできるのです。相模湖だと水が綺麗なので、魚の反応も黙視できます。DAIWAさんの豊富なバリエーションの使い分けは、実際に使ってみなければわかりませんからね」
ボート直下にサスペンドしていた一本
その後は最上流から釣り下って来て、柴田ボートさんの近所の停船の下にサスペンドしていたキロフィッシュを掛けて、この日の朝練は終わりました。気が付いてみればアッという間の3時間でした。たかが3時間、されど3時間。寝ているよりはずっと意義深い時間といえましょう。
草深プロは今後も可能な限り朝練に通うといいます。その努力はいつか必ず報われるでしょう。
トーナメントのプラでは不可能なタックルの使い分けをチェックできるのも「朝練」ならでは
特集2
佐藤健人がそっと教える
秘密のポッパー使い
四国、徳島をベースにJBトーナメントをトレイルしている若手の佐藤健人(けんと)プロは、プライベートでのオカッパリにも積極的なアングラーです。ですから、釣行の度に新しいメソッドを次々と開発し続けています。
その佐藤プロがこっそり教えてくれたのがポッパーの意外な使い方。近日アップされる予定のアルティメット動画でも紹介されていますが、強烈に釣れるので話題沸騰間違いなしのメソッドです。
それは佐藤プロが「アルティメット動画でも印象的な魚が釣れた」というスティーズ・ポッパー70Fを使っての釣り。具体的にはルアーを足元に落とし、そこで激しくシェイクして誘うというもの。佐藤プロは昔から羽モノやビッグベイトなどでも同じ釣り方で結果を出していたそうです。
スティーズ・ポッパー70Fの足元シェイク……釣れますよ!
佐藤プロは以下のように解説してくれました。
「チョウチン釣りのようなカタチですが、キモは一か所で激しく誘うこと。スティーズ・ポッパー70Fのラトル音をガンガン立てて、水しぶきとともにアピールさせるわけです。ここぞと思うスポットではかなりしつこく誘います。すると下からアグレッシヴに『ゴボッ』と出てきます。この釣り方ですと、プレッシャーが高いところでも高確率で釣れます。
通常のトップウォーターの釣りを行っていて手前まで引いてきて、ピックアップする前にこの誘い方を行うのもアリです。足元まで追いかけてくるバスもいますからね。
昔、トップウォーターしばりで釣りをしていた頃に発見した釣り方ですが、考えてみれば理に叶っていると思います。実際に釣れることが何よりの証明です」
タックルは
ロッド:エアエッジ661MHB(バーサタイル性能がオカッパリにベスト)
リール:スティーズ SV TW
ライン:モンスターブレイブ13lb(あらゆる釣りをカバーしてくれる番手)
というシステム。
ほとんどのオカッパリはこれでまかなえるという佐藤プロオススメのシステム
というわけでまだまだ夏も終わりません。スティーズ・ポッパー70Fで佐藤プロのメソッドを試してみたくなりますね。
※佐藤プロは8月5日に徳島県の旧吉野川で開催されたJB2第三戦で7位に入りました。