特集1
バスプロ、この孤独な生き様
日米を問わず、バスプロが一番輝くのはトーナメントにおけるウェイインショー。そこでビッグバスを高々と掲げ、会場を興奮の極致に盛り上げる時が最高の瞬間で、その時、人は「バスプロになってよかった」と思うのである。とくにビッグトーナメントでそういった場面を演じるということは、名誉と賞金という実利を手にすることで、大きなサクセスを意味する。
トーナメントでお立ち台に立つ瞬間はバスプロが輝く時である
それだけではない、雑誌や動画などの媒体を通じた活動も、バスプロの華やかな一面を印象付ける仕事である。だから多くの若者はバスプロという職業に憧れるのである。
だが、そういった派手な印象を与えるバスプロも、トーナメントや媒体露出時以外は、実に地味な日常を過ごしているのである。別の言い方をすれば、孤独な日々を過ごしているのである。例外はない。ほとんどのバスプロは孤独である。
3月5日、北浦潮来マリーナで黙々とトーナメントの準備に勤しむ川口直人プロの姿も、とても寒々としていたものだった。
4月第一週にJBトップ50遠賀川戦を控えている同プロは、ボチボチ準備を始めるか、というわけで前日、中央高速、首都高、東関道を走ってきたのだ。
バスプロがトーナメントを闘う上で最初に整備しなければならないのはボートと付帯する設備である。近代的なバストーナメントにおいてはそれが一番重要である。
川口プロも今回は一からエレキと魚探をセッティングするために前日からマリーナに入っていた。というのも、少し前にガイドを行っていた時、エレキが壊れてしまったからである。次に魚探。そして冷蔵庫も壊れた。だからこの機会に全てを正常に整えるべく、北浦にやってきたのである。
前日は昼食もとらず一心不乱にエレキと魚探を設置し、夜は鹿島のホテルに泊まり、ネットで説明書と格闘し、翌5日は実際にボートを浮かべて魚探をチェックしたのである。夜は当然ボッチ飯である。
川口プロはこれらをすべて一人で黙々と行っていた。派手に見えるバスプロも実は孤独で寂しい生き物だということがわかる。
実際にボートを浮かべて魚探をチェックする。納得がいかない表情だ
おまけに魚探の設定が実に分かりにくく、川口プロのようなベテランバスアングラーでさえ苦労する。ボートを浮かべた後も、水温が表示されない、水深が表示されないと悪戦苦闘。
「あー、面倒くさい」と何度も切れそうになったが、メカニックに電話して小一時間説明を聞き、たまたま現れたプロアングラーと二人でああでもないこうでもないと試行錯誤してやっとなんとかなったのである。
走っている途中でも思い出したように魚探をチェックする川口プロ
この日は午後上がりの予定だったので、魚探の設定が終わって残り2時間しかなくなってしまった。でも「それじゃ釣りでもしますか」ということで川口プロはロッドを握った。
最初の手にしたのはシャッド。
●ROD:BLACKLABEL LG 661L+RB
●REEL:ALPHAS CT SV 70
●LURE:STEEZ SHAD 54 SP MR シラウオ
●LINE:STEEZ フロロ タイプフィネス 8lb
川口プロはいう。
「ボートの装備が完成したらあとは釣るだけです。そうなるとタックルの出番です。いうまでもなくシーズンに応じた釣り方、それに相応しいタックルを組むことが大切です。
今日はまだ少し早いようですが、北浦の春はシラウオパターンが定番です。それにはこのタックルシステムは最強だと思います。軽くてシャープな振り抜きを約束してくれるロッドは、シングルハンドで狙ったスポットを撃ち抜くことができます。ルアーに搭載されている重心移動はかなり小さいものですが、それでも気持ちよく飛んでくれます。
シャッドの釣りでは飛距離は重要です。飛距離が出ないとルアーが狙いの深度に届いてくれないからです」
●キヤッチ率が違うSTEEZ AIR TW
潮来マリーナから江川まで走って釣りを始めたが、予想以上に風が強かったので、ボートを反転、白浜のドックにやってきました。そこで手にしたのが
●STEEZ AIR TW 500XXHL
●ROD:STEEZ 641LXB-ST HERMIT
●LURE:ネコストレート 5.8
●LINE: :STEEZ フロロ タイプフィネス 8lb
●SINKER:バザーズ ワームシンカーTG ネイル 1.3g
というシステム。
川口プロはこのタックルにはそうとう自信があるようで、ドックの壁を撃ちながら問わず語りに語ってくれました。
「プロは魚を釣らなければなりません。仕事ですから。でも、環境は年々難しくなっています。そうなると究極のタックルが欲しくなります。そして当然、リグは軽くなります。はい、ベイトフィネスがクローズアップされるわけです。
つまりそれまでスピニンクタックルを使っていた釣りをベイトタックルが肩代わりするようになったわけですが、その結果、何が変って来るかというと『キャッチ率』です。
スピニングタックルで使うラインはせいぜい4lbでしょう。ところがこのシステムでは8lbを使っています。それで軽いリグを同じような厄介なスポットに撃つわけですから、4lのラインに対してキャッチ率は圧倒的に違うわけです。トラブルが減りますからね。
STEEZ AIR TWは軽いリグが投げられるからいいという人がいます。それは確かですが、何より8lbを使えることでロスが減ることが最大のメリットだといえます。魚に触ることができる可能性が高まるんです。
このリールは魚のキャッチ率を上げてくれる。プロにとってはそれが一番うれしい
それ以外のメリットは語り尽くされているように、出だしのコントロールがいいからキャストがバシバシ決まる。1g台の軽さのルアーまでこなしてくれる使い勝手の良さ。だからスピニングの出番が減りましたが、でもそれ以上に軽いリグはやっぱりスピニングでなければ無理ですね。
孤独な一日は時ならぬ豪雨で終了を余儀なくされた
とにかく凄いリールが生まれたものです。いつもはSTEEZ 641LXB-ST HERMITと組み合わせていますが、リールがここまで来たらもう少し軟らかめのロッドがあってもいいような気もします」
そこに時ならぬ豪雨。川口プロは慌てて撤収しましたが、エレキと魚探の設定が無事に終了して、孤独な作業も報われたようです。4月からのJB開幕に期待しましょう。
このリール、すごく売れているみたいですが、他のリールでは代用が効かないから当然でしょうね、とまとめてくれた川口プロでした
特集2
3月28日(土)の
ザ・フィッシングをお楽しみに!
清水盛三プロが登場します!
といってもバスフィッシングの番組ではありません。なんとっ、ヘラブナ釣りなのです。実は清水プロ、子供の頃からの大のヘラブナ釣りファンで、あこがれのアングラーはDAIWA契約の浜田優氏。同氏が千葉の清遊湖でダイワ・ヘラマスターズを優勝した模様をテレビで見た瞬間、トリコになったそうです。
昨年、トーナメント引退会見を大阪で行った清水プロですが、その際「尊敬するアングラーはリック・クランと浜田優さんです」と記者の前で語ったほどです。
そんな清水プロの夢は「一度でいいから浜田さんの隣で釣りをしてみたい」というもの。その願いがかなって今回のロケとなりました。場所は清水プロが浜田さんを尊敬するキッカケを作った千葉県の管理釣り場、清遊湖。初日は同じ桟橋を使うほどこだわりました。
真剣な表情でウキを見つめる清水プロ
ロケは3月10,11日の二日間にわたって行われ、初日は雨にたたられましたが、二日目は好天に恵まれ、清水プロは念願の浜田プロとの釣りで「メチャメチャ緊張しましたが至福の時間を過ごさせてもらいました」と大満足。21日のオールスターに向けて、いい感じで気分転換できて、トーナメントモードに切り替えることができたようです。
ところで、清水プロのヘラブナ釣りの腕ですが、これが超絶上手い! さすがにDAIWAへらマスターズの予選に10年以上チャレンジしている実力派、ダテではありません。
初日は雨天の中、冬の釣りの代名詞といわれる段差の底釣りに挑戦したわけですが、浜田優氏を上回るほどの釣れ方。もちろん仕掛けからエサ作りまですべて自分でおこなったもの。「本当は釣りをしないで浜田さんの釣りを見ていたいんですが......」と語っていましたが、自分の釣りの所作や立ち居振る舞いなども、完璧なヘラ師のスタイルを完備していました。
清水プロの実力には浜田氏も驚いたことでしょう。
段差の底釣りは渋い時期の釣りなので、セッティングがかなりシビアになるものですが、ミリ単位の調整幅を突き止めて時合を作っていました。上手い人は何をやらせても上手いものです。
ロケを終えて清水プロは
「あこがれの浜田さんと釣りが出来て、思い残すことはありません。これで心置きなくバサー・オールスタークラシックに臨むことができます」と大満足。オールスターでの活躍も期待できそうです。
この模様は3月28日(土曜)午後五時半からの「ザ・フィッシング」でお楽しみいただけます。お見逃しなく!
放映は3月28日です。お見逃しなく!