Ultimate6月12日号

特集

ベイトフィネス?

いや、それ以上の呼称が相応しい!

並木敏成が力説する

ALPHAS AIR TW の凄まじさ!

●並木プロのタックルへのこだわりは群を抜く

 ニュータックルがデビューする際、DAIWAチームのメンバーはそれらを使い込んでパフォーマンスのすべてを体感し、十分に理解してからアングラーの皆様に伝えようと努力しています。与えられた情報を橋渡しするだけでは、語る言葉に説得力は生まれません。自分が関与したタックルはもちろん、そうでないものなら余計に時間をかけて全貌を把握しようとしています。

 その姿勢は全員同じです。例外はありません。

しかし、中でも並木プロのこだわりは群を抜いています。

 昔、こんなことがありました。新しいシリーズのロッドを開発する過程で、ある管理釣り場にテスターに集まっていただき、合同テストを行ったことがありました。限られた時間の中で数アイテムを使ってチェックしていただくという仕事をお願いしたのです。

 朝一から夕方まで約10時間、皆さんにいろいろなロッドを使っていただいたわけですが、並木プロだけは1アイテムに費やす時間がとてつもなく長く、結局1日では終わらなかったのです。 

 時間管理がどうのこうのいう問題ではありません。納得しなければ答えは出せないというこだわりが、並木プロにニューロッドを振らせ、アクションさせ、釣った魚とのやりとりを繰り返させたのです。そこには時間配分などを度外視した妥協しない姿勢があったのです。

 そんな並木プロですから、ALPHAS AIR TW が登場した時も自分が納得するまで徹底して使い込んでみました。あいにくコロナ禍が日本を蹂躙している現在、実釣テストは自粛せざるを得ませんが、出来る限りの環境を整えてリールのパフォーマンスを把握しようとしたのです。

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自宅の前でALPHAS AIR TWのテストに余念がない並木プロ。おなじみのフォームでキャストをビシバシ決めています

 すでにご自身のSNSなどでそれらの様子は発信されていますが、今回はそんな並木プロに直接ALPHAS AIR TWのインプレを伺ってみました。

 5月末のある日、八王子のTNFR内で並木プロは熱く語ってくれました。

●このキャスタビリティーには絶句する

 「このリールは革命的です。大革命です。それほどスゴイと思います。

 アルミで固められたボディはソルトウォーターフィッシングにも使えるとか、超軽量ルアーも使えるので渓流でも使えるとか、そういったことはすでにご存知でしょうから、私はキャスタビリティーにフォーカスして申し上げたいと思います」

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「このリールは革命的」とまで力説する並木プロ

 キャスティングに関しては比類なきテクニックを持っている並木プロだけに、その言葉は重々しく響きました。

 「そうです。キャスタビリティー。ズバリそれが大革命だといえるのです。一言でいえば超軽量ルアーが投げられるようになった。いままでのいわゆるベイトフィネスのリール、DAIWAなら32mmスプールのSS AIRとかT3 AIRなどでしたら8lbのフロロという前提で5gから7g、軽くても3.5gぐらいまでのリグが限界でした。

 フルキャストやサイドキャストなら5gぐらいは楽に投げられましたが、ピッチングだと6gは欲しい。

 具体的にSS AIRとかT3 AIRを使って実戦でどんなルアーを投げていたかというと4.5inのストレートワーム、その重さが4.2gで1.8gのシンカーを埋め込み、0.1g程度のマスバリを使ったネコリグなどが代表的でした。その重さはトータル約6gあったわけです。そういったものを投げていたんです。

 確かにラインを15メートルぐらいしか巻かないで3gや4gのリグを投げていたトーナメンターもいました。でもそれはあくまで特殊な例で、普通はフロロ8lbを30メートル以上巻いて使うわけです。それで3gや4gのリグを投げるのはキツイわけです。

 だったらスピニングを使えばいいじゃないかと思われるでしょうが、3lbや4lbのラインではカバーは攻められません。どうしても8lbはほしい。だから超軽量リグを投げられるベイトキャスティングリールが待望されていたのです。

●ズバリ釣果に直結する

 そんな状況で登場したのがSTEEZ AIR TWそしてALPHAS AIR TWなのです。STEEZとの違いは後で述べますが、今回、ALPHAS AIR TWがデビューするタイミングで私は様々なルアーをリグって実際に投げてみました。電子ハカリで正確に重さを計った上でキャスタビリティーを検証してみたのです。実釣に行けませんので自宅の前で行いました。ですが実戦を想定してボートの上から投げてみました。この時の模様が自身のYouTubeチャンネル"世界のT.ナミキ釣りベース"にアップされています。

https://youtu.be/0UccT175iec

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ひとつひとつワームの重さを電子ハカリで正確に計った上でテストを繰り返しました

 その結果は予想通り衝撃的でした。究極のリールだと思いましたね。

 セッティング次第では1gのリグも投げられる。例えば2インチのシャッドテールワームの重さが0.8g、それにオフセットフック#4を付けてトータル1.05g。それが普通に投げられるんですから驚異的です。スピニングタックルでも投げにくい1gです。

 これが2.5インチのワームならもっとイージーです。オフセット♯2フックを付けて約2g。これならセッティングをそれほどシビアにしなくともまったく問題ありません。

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このシャッドテールワームの重さが0.8g。フックを付けて1.05g。それをキャストできるのがALPHAS AIR TWなのです

 やっぱり28mmスプールは偉大だと思いましたね。そしてスプールの幅も狭くなった。だからラインの放出が早いので後半にバックラッシュしにくくなりました。このスプールが1g台のリグを投げられる秘訣だと理解しました。1gは極端な数字ですが、32mmスプールでは投げにくかった3gや4gは実に気持ちよく投げられます。

 ですからこのリールに関していえばベイトフィネスという言葉では物足りません。何かほかの呼び方が必要だと思います。それほどぶっ飛んだリールだといえます。 

といってもリールはキャスティングゲームのためのものではありません。ALPHAS AIR TWのようなリールが登場した意義は、いままで大きなルアーしか入れることができなかったヘビーカバーにより小さなルアーを送り込めるようになったことです。だから釣れる確率が高まる。

相変わらずフィールドコンディションはタフです。ですから繊細なリグに頼る場面は増えます。ALPHAS AIR TWはそんな現状を克服してくれるリールだといえますね。

●ロッド、そしてラインとの相性

 テストに使ったロッドはSTEEZ 661MLFB(マシンガンキャスト タイプ0.5)です。実際にオールスターの二日目にはこのロッドとSTEEZ AIR TWの組み合わせで5gのシャッドを投げ、ビッグフィッシュを獲りました。ラインはフロロ8lbでした。リールとの相性は良いと思います。垂らしを30cmぐらいとれば軽いリグでも重さを背負ってくれ飛ばしてくれます。

 取扱説明書には推奨巻き糸量は30mと表示されていますが、それなら2~3gのウェイトでもピッチングで投げられるでしょう。サイドキャストならライン満タンでも行けますよ。サイドキャストならビギナーにも投げやすいでしょう。

 取扱説明書にはラインを巻く時のラインテンションのこととか、ハンドル何回転で30m巻けるかなどが書かれています。とても親切だと思います。

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巻き糸量がわかるハンドル回転数の表示に「わかりやすい」と並木プロも感心していました

 あとはPEラインとの相性も格別にいいですね。ライン自体が軽いので軽いリグの扱いがもっとイージーになるでしょう。PE0.8号なら30m巻いて使用しても1gのルアーがキャスト出来てしまいます。フロロやナイロン、そしてPEラインというように、糸質と巻き糸量の関係も興味深いものがあり、研究の余地がありますね。

 

 ●STEEZ AIR TWとの違い

 「最後にSTEEZ AIR TWとの違いについて触れておきます。すぐに分かる違いは価格と自重、そしてSTEEZの淡水専用に対してALPHASがソルト対応という点などですが、自重に関していえば軽いロッドとのバランスにおいてはSTEEZ AIR TWの軽さを感じます。

ブレーキ構造の違いによる効きは多少違うと思います。私が得た感触としてはALPHASの方が効いている時間が少し長めで、トラブルが少ないように感じました。つまり初・中級者にはやさしいブレーキだといえます。

STEEZの方がよりピーキーですが、逆に言えばセッティングがハマればそれだけ威力を発揮してくれるということです。どちらも適材適所で使えば素晴らしいリールだと思います」

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STEEZ AIR TW(下)との違いは価格や自重以外ではブレーキの効き方の微妙な違いぐらい。と並木プロは語っていました

並木プロは以上のようにまとめてくれました。

「いずれにせよ、一日も早く実釣で使ってみたいですね。きっと釣りが根底から変わったと思わせてくれるでしょう」

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最後は得意のTポーズで決めてくれた並木プロでした