特集1
川口直人プロの4つのこだわり
8月一杯、桧原湖でガイドに勤しんできた川口直人プロは31日、1か月振りに河口湖に帰ってきました。翌9月1日は朝から部屋の掃除などに忙殺されましたが、少し落ち着いた午後、お時間をいただき取材させてもらうことができました。少し前にスティーズ スピンフィネスジグのお話を聞かせてもらう約束になっていたのです。
取材場所は河口湖ではここしかないという聖地「レストラン・ガスト」。川口プロはややお疲れの様子で現れ、早速スティーズ スピンフィネスジグの解説を始めてくれました。
●こだわりその1 上向き且つバラシが少ないフック
「いゃあ、このジグの開発には時間がかかりましたよ。開発を始めたのは5年前ですからね。それにはいろいろな原因がありますが、一番はフックの向き、というか立ち方がなかなか決まらなかったから。テストを重ねてベストな位置を探って行ったんですが、かなり時間をかけました。
河口湖の取材聖地「ガスト」で川口プロはスティーズ スピンフィネスジグについて解説してくれました
最初はフックポイントをやや開き気味、つまりやや上を向いた状態で使っていたんですが、掛かりはいい反面バレが多いんですよね。でも、下に向ければ解決するという単純なものでもありません。バレる原因を探っていったらヘッド形状とのバランスが合っていないという結論に達したんです。
だからフックの立ち方とヘッド形状をいろいろ吟味して現在のカタチになったわけです。具体的にはフックポイントを最初よりやや下げ気味にしています。それでもちょっと見は上を向いていますけどね。結果的に掛りとバレにくさという矛盾を解決したわけです」
●こだわりその2 ヘッド形状
「本来はこういうジグのヘッド形状はラウンドなんですが、スティーズ スピンフィネスジグはややフットボール気味で、さらにアイが立っている部分が平らになっています。だからジグをボトムで起こしやすいんですよね。つまり寝にくいわけです。さらにノー感じになりがちなこの釣りでも、泳がせた時やボトムをズル引きした時に引き抵抗を感じられます。ボトムにステイさせた時もフックの立ち方がよくなります。当然、フッキングもよくなるというわけです」
ヘッド形状とフックの立ち方のバランスが絶妙なので、泳がせてもズル引きでも引き抵抗を感じることができる
●こだわりその3 少ないラバーの量
「こういうスモラバの場合、トレーラーを付けて使うことが前提になります。その場合、ラバーの量が多すぎるとトレーラーとのバランスが悪くなります。要するにモシャモシャし過ぎるんですよ。そしてラバー同士が干渉し合ってフレアーしない。
ラバーの量が多すぎるとトレーラーとのバランスが悪くなる。「ねっ? スティーズ スピンフィネスジグは理想的でしょ?」と川口プロ
私は昔からラバーは自分で巻いていました。数は意識していなかったんですが、結果的に全部34本でした。(川口プロは数に関して確認願いますとのことです)無意識に何百個巻いても全部34本! これは自慢です。このぐらいがトレーラーと合わせた時にちょうどいいボリューム感なんです。
ラバーの長さは2種類、太さも2種類です。それぞれ浮力が違うから立ち上がるスピードも違うし、動きそのものも違う。だからアピールするんです」
スモークギルカラーのラバー先端は黄土色。フレアーするとこれが際立ってアピールする
●こだわりその4 タックルの勘違い
「このスモラバはカバーが濃くないところなら日本全国どこでも使えます。
私が桧原湖で使っているタックルは
ROD:スティーズ 6011UL/LXS-SMT (ファストホーク)
REEL: EXIST FC LT 2500S-CXH
LINE:スティーズフロロ タイプフィネス2.5lb
で、ガイドを通じてみなさんがタックルに関して誤解なさっていることがあるのでこの機会に話したいと思います。
●SMTの超感度について
「まずはロッド。私が桧原湖でメインに使っているロッドはファストホークで、SMTを搭載しています。だから感度が良くアタリがとれるという人がいます。その表現は間違いではありませんが正確ではありません。アタリというのは魚がルアーをくわえて反転するときに手元に感じるものです。それはSMTでなくても、一般の穂先でも感じることができます。
SMTの感度とはそんなものではありません。例えばラインが弛んでいる時のバイトも感じることができるんです。そういう時は明確なアタリは出ません。「ン?」という違和感だけです。それが感知できるのがSMTなのです。「ン?」が感じられる。その感覚は使い込まないとわかりませんが、慣れてくるとそのバイトを逃さないので釣果に絶大に影響してきます」
●ドラグはきつめに
「ガイドを通して驚くのはみなさんドラグ設定が非常に緩いことです。それではフッキングできません。使用ラインが2.5lbだと、さすがにフロロでもかなり伸びます。だからドラグは最初は締め加減に設定するのがキモです。
ゲストさんは僕のきつめのドラグ設定を見てビックリなさいますけど、それでちょうどいい。魚が掛かってしっかりフッキングしてから緩めればいいんです」
とまとめてくれた川口プロ。飄々とした解説でしたが、説得力に溢れていました。みなさんもぜひご参考にしていただきたいと存じます。
特集2
小池貴幸
タトゥーラSV TWとタトゥーラTWを現場でナマ解説
7月24日号でタトゥーラSV TWとタトゥーラTWの賢い使い分けを解説してくれた小池貴幸プロ。今回は同じテーマでの動画撮影に琵琶湖から霞ケ浦に駆け付けてくれましたので、同行取材させてもらいました。前回の解説も非常に分かりやすかったのですが、やっぱり現場で釣りながら語っていただくと説得力も違います。実にナマナマしいお話が聞けましたのでご紹介したいと思います。
当日は様々なエリアを回りましたが、キモとなったスポットでの解説を中心にレポートいたします。
●カバーゲームでのタトゥーラTWの優位性
取材は梅雨明け直後の猛暑が続く8月初旬に行われました。小池プロは朝一に南水路に向かいました。前日に霞ケ浦をざっとチェックした結果、水が良く魚っ気も十分だったからです。ここはオカッパリの名所。さすがに小池プロは目が効きます。
小池プロは最下流部の水門に近いエリアのフローティングベジテーションで釣り始めながら、問わず語りに解説を始めてくれました。
「こういうヒシ藻や水草が濃いカバーは、その隙間を軽いリグで狙うのが一般的ですが、密度が高いカバーは隙間を狙うこと自体難しく、なかなか狙ったスポットに落とせないことがあります。
そんな時には重めのリグが効果的です。例えば10g程度のシンカーを使ってカバーの中にズドンと落とす。こういう釣りが効率的ですね。しかも魚を掛けた後でカバーの中から持ち上げるチカラも必要です。つまりパワーゲームですね。
そんな時に頼りになるのがタトゥーラTW。重めのリグへの対応力とカバーから魚を引っ張り上げる剛性を持っています。
濃い目のカバーでは10g以上のシンカーを使って落とすと効率的な釣りが出来る
そういった釣りには言うでもなくロッドも大切です。私はリベリオンの731MHFBをタトゥーラTWに組み合わせていますが、リールの巻き上げ力との相乗効果でパワーゲームを楽に行えます」
「リベリオン731MHFBとタトゥーラTWの組み合わせはパワーゲームには最強」と小池プロは絶賛する
こう語りながら小池プロは気持ちよさそうにスティーズホグ4.3インチの10gフリーリグをリズム良くカバーに落としていました。
小池プロが南水路の濃いカバーで使ったスティーズホグ4.3インチの10gフリーリグ
●「その先」への遠投が効くタトゥーラTW
小池プロは北利根川の吐出しから霞ケ浦本湖につながるエリアに移動して、ビッグベイトやビッグクランクを投げ始めました。さすがに本湖は風が強く、おまけに向かい風です。しかし小池プロは一切気にせず、気持ちよく遠投しています。ここでも投げながらの解説が始まりました。
「沖に杭がありますよね。テキサスリグなどのワームの釣りでは、そのすぐ先に投げればいいんですが、ダイビング系のプラグはさらに向こうに投げて、杭を掠めながらリトリーブしてこなければなりません。
「その先」に投げなければならないハードベイトの釣りでは、何より遠投性能がカギとなる
そんな時にはタトゥーラTWの遠投力が絶対ですね。やや重めのスプールですから回り出したら慣性が働いて、後半タレません。伸びてくれるんです。だから遠投できる。向かい風にも負けません。
そして、ここでもリベリオン731MHFBがいい仕事をしてくれ、飛距離と精度を両立させてくれます。まさに重めの撃ちモノ、ミドルクラスから上の巻き物すべてを高次元でこなすので、ロング&バワーバーサタイルと呼ぶにふさわしいロッドです」
小池プロはスノヤハラに移動、そこにつながる小規模流入河川でスモラバをリグりました。
リールはタトゥーラSV TW。ロッドはリベリオン661M/MLFB、リグはスモールラバージグSS2.5gにスティーズホグ2.2インチです。
小規模流入河川に移動した小池プロが用意したのがタトゥーラSV TWにリベリオン661M/MLFB、リグはスモールラバージグSS2.5gにスティーズホグ2.2インチです。
このロッドについて小池プロはこう語っていました。
「リベリオン661M/MLFBは普段、クランクベイトやスピナーベイトなど、ロッド操作が必要な釣りに使っていますが、タトゥーラSV TWとの適性を考慮してこれを組み合わせました。汎用性が高いリールには汎用性が高いロッドというチョイスです。これ1本でハードルアーからスモラバやネコリグまで、なんでもできるからです」
さらに小池プロはこのロッドに関して続けました。
「ティップはMパワー、バットはMLパワーのファストテーパーのこのロッド、言葉で言うと『ん??』なちょっとわかりにくい表記のロッドですが、コレ、すごいんですよ。
ティップがMパワーなのでMパワーで扱うルアーは全て使えるのは当然ですが、バットがMLパワーのファストテーパーなのがミソで、ルアーを扱うときはファストテーパーで、繊細な操作ができます。キャスト時にもパラボリックに曲がってくれるので、非常に投げやすく、ベイトフィネス系の軽量リグまで一本で扱えるんです。
ただ、バットがMLと聞くとフッキングが心配になると思いますが、意外にこの方がフッキングはいいんです。これはあまり知られていないことですが、撓って(しなって)弾性のある竿の方が効率よくフッキングが決まるのです。硬いハリよりもしなって戻る弾性のあるハリの方が小さな力で効率よく魚の口に刺さるのと同じ原理です。素材がHVFの高弾性なので出来る芸当ですね。
番手も光大郎さんのSteez SC ウェアウルフと一緒。つまりウェアウルフのHVF版なのでウェアウルフの良いところを残しつつ、ハードベイトへの対応力を持ち合せた、まさに汎用性に長けたリールのタトゥーラSV TWのようなロッドです」
小池プロはこれを軽く投げてチョンチョンし始めました。
「しかしトータル3gちょっとのリグをベイトタックルで投げられる......これってすごくないですか? ピッチングでフワッと飛んでいきますよ」
スモールラバージグSS2.5にスティーズホグ2.2。「これが気持ちよく飛んでいく」と小池プロはタトゥーラSV TWのキャスタビリティーを絶賛
そして小池プロはリグチェンジ。同じスモールラバージグSSにネコファット5inをカットしたリグ、小池プロに言わせると「ヤゴチューン」です。
ネコファットをカットしたヤゴチューンにチェンジ
リグが少しだけ重くなったので、ピッチングでスコーンと気持ちよく飛んでいきます。
これに小バスが食いついてきました。小池プロも思わず苦笑い。そしてすぐに3/8ozのスピナーベイトに替えました。
小バスが釣れて苦笑する小池プロ
そしてすぐにスティーズ スピナーベイトにチェンジ。「スモラバからスピナーベイトへのチェンジ。こういうことができるのもタトゥーラSV TWの凄さですね」と小池プロ
「こういう対応力もタトゥーラSV TWの凄さですよね。フィネスな釣りはもちろん、ミドルクラスのルアーまで幅広く使える。つまり、ピンスポットを撃った直後に広いエリアを探れるわけです。ラインの太さと量を変えればヘビーなルアーまでこなせますよ。10lbのラインをスプールの内側の線まで巻けばフィネスから通常の釣りまでOK。16lbを目一杯巻けば重たいルアーも投げられます。しかも1本のロッドで。これはオカッパリには強力な武器ですよ」
そして小池プロはシートパイルにノーシンカーを投げ始めました。
「こういう壁はやっぱりスローにフォールさせたいよね。だからノーシンカーがいい。でも遠くに飛ばしたい。だからタトゥーラSV TWが効くよね。普通のリールは遠投を意識してラインをたくさん巻くと、キャストアキュラシーが悪くなる。ラインがスプールを重くしちゃうからね。でもタトゥーラSV TWはスプールが軽いので回転力が落ちずに正確にキャストできる、それが凄い」
シートパイルに沿ってノーシンカーを引く際も「遠くに正確に飛ばせるタトゥーラSV TWは心強い」と小池プロはまとめてくれた
翌日はガイドがあるとのことで、夕方にはストップフィッシング。小池プロはこうして霞ケ浦というフィールドでタトゥーラSV TW、そしてタトゥーラTWの個性を生かした釣りを見せてくれました。この模様も近日中に動画がUPされますのでご期待ください。
なお、ギア比の使い分けに関しても伺ってみましたので、最後にご紹介しておきます。
「6.3:1 =巻き物には基本的にはこれを使っています。理由はラインを張り過ぎたくないからです。張り過ぎるとバイト時間が短くなってしまいます。巻き物などリールでアクションさせる釣りはこのギア比ですね。
7.1:1=巻き物も撃ちモノも使えるもっとも中間に位置するギア比です
8.1:1=ワーム系の釣りにはこれですね。ロッドでアクションを加える釣りにはこのギア比です。ラインスラックもとりやすいですし、回収も早い」
こうして小池プロの長く暑い一日は終りました。それから約2週間後の8月24日、アメリカへと旅立ったのです。