Ultimate 11月27日号

特集

それぞれの「有終の美」

●その1

ジリオン & イグジスト、

激タフの河口湖で炸裂!

藤田京弥、全日本バスプロ選手権 堂々の準優勝!

 去る11月21,22の両日、山梨県河口湖で行われた全日本バスプロ選手権東日本大会で、DAIWAチームの藤田京弥は二日間トータル5尾6034gを持ち込み、堂々準優勝に輝きました。

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タックルのアドバンテージを生かして藤田選手は準優勝に輝きました

 東日本のビッグネーム多数を含めて130名以上が参加したこの大会ですが、50名ほどが二日間完全ノーフィッシュに終わるという激渋さ。いかに魚に口を使わせて魚を拾っていくかがキーとなりましたが、藤田選手は他の選手がもがき苦しむ中、タックルのアドバンテージを最大に生かして確実に釣果を重ねていきました。

 具体的には初日が3本2660gで6位発進、二日目が2本3374gで単日3位という安定した成績で準優勝に輝いたのです。

 藤田選手のメインパターンはラバージグ+ポークのいわゆるジグスト。これで湖全域のシャローを早引きで撃って撃って撃ちまくるというものでした。そこでキーとなったのが通称ジリオン10(ジリオン10.0L-SV TW)。

 「とにかくバスの個体数が少ないので、スピード重視でテンポ良く撃って行って当てる......そんな釣りを繰り広げたのですが、それにはジリオン10が絶対に必要でした。アプローチ回数も増えますし、自分の釣りのリズムも出来て、気持ちよく釣りができました。これってとても大事なことなんです」

 と藤田選手は語ってくれました。

 そして藤田選手は続けてコメントしました。

 「このリールを使った理由はもう一つあります。それは魚を掛けてからの安心感。ラバージグは掛かってから魚に首を振られるとすごくバラシやすいんです。ところがこのリールを使うと非常にバレにくい。体感的にそう感じるのです。ジグストでは2本の魚を掛けましたが、二つとも確実に獲れました」

 

 藤田選手が投入したもう一つのリールがイグジストFC LT 2500S-CXH。これに関して藤田選手は

 「ジグストの早引きにヤル気のあるバスは追って来るんですが、口を使うまでには至らない場合にフォローで導入したのがスピニングタックル。ここはイグジストFC LT 2500S-CXHの出番でした。これでポークのダウンショットなどのフォローを入れて、結局二日間でジグストで2本、ライトリグで3本獲ることができたのです」

 と解説してくれました。

 ジリオンとイグジストというリールの持ち味を生かした実にクレバーなタックルチョイスといえましょう。

 藤田選手の今年の試合はこれで終了。準優勝で有終の美を飾ったといえますが、本人は

 「トップ50もなかったし、他の試合でも負け試合が多く、パッとしなかったですね。そんな意味では悔しい一年でした」

 と語っていましたが、早くも来期のリベンジに燃えているようでした。期待しましょう。

 なお、このバスプロ選手権においては山下尚輝が17位、山下一也が73位、オリキンこと折金一樹が79位でフィニッシュしました。いずれもゼロ申告ではなく、とにかく魚を持って来ただけでも立派といえましょう。

●その2

橋本卓哉、W.B.S.年間3位でフィニッシュ!

赤羽修弥は5!

 全日本バスプロ選手権が行われた同じ日程で、霞ケ浦・北浦ではW.B.S.の最終戦が行われました。コロナ禍のおかげで今年は3戦しか行うことができなかったW.B.S.のレギュラー戦ですが、それでも最終戦はA.O.Y.、クラシック権が決定する大一番です。

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W.B.S.名物の朝日に向かってのスタート。アドレナリンが全開になる瞬間です

 DAIWAチームの橋本卓哉、赤羽修弥、草深幸範、中根亘らも、少しでも年間ランキングを上げてシーズンを終わりたいと万全の態勢で臨みました。

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ボートのトラブルに見舞われた草深選手は不本意な成績に終わりました。クラシックでのリベンジを期待しましょう

 中でもA.O.Y.の望みを残している橋本選手、赤羽選手は一発大逆転を狙って手ぐすねを引いていました。トップとの差は橋本選手が3kg、赤羽選手が約4.5kg、ウェイトで決められるW.B.S.のA.O.Y.だけに逆転の可能性は十分にあったからです。

 しかし、初日の爆風が全てを狂わせてしまいました。本湖では釣りにならないと桜川に逃げた赤羽選手はそこでスピナーベイトで1本獲っただけで一日目が終わってしまいました。

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初日の霞ヶ浦はもの凄い風に見舞われてしまいました

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桜川に逃げて貴重な1本を獲った赤羽選手

 初日は古渡の水路でスピナーベイトを投げ倒して一日釣りを続けた橋本選手にとって、本湖の爆風は願ってもない状況だったのですが、6回のミスを犯すという大誤算でまさかのノーフィッシュ。絶対の自信を持って選択した水路、しかもお誂え向きの本湖の大風という好条件に恵まれながらも、大魚を逃してしまったのです。

 「6回もミスするとは思いませんでした。まあ、そういう流れだったんでしょうね」と橋本選手は肩を落としていましたが、

 「こうなったら明日はギャンブルしますよ」

 とワンチャンに賭けているようでした。

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二日目にナイスウェイトをマークしただけに初日のノーフィッシュが悔やまれる橋本選手

 一方、A.O.Y.レースでトップを走っていた選手は1本ながらも1600gフィッシュを持ち込み、橋本、赤羽両選手との差はさらに開いてしまいました。でも可能性はゼロではありません。

 そして二日目がやってきました。初日と違って晴天・微風、どのエリアへのエントリーも可能です。

 橋本選手はこの日もスピナーベイトをメインにラン&ガン。1スポットでキロアップを1本ずつ獲るというゲームを展開、結局3425gを持ち込み、6位でこの試合を終え、年間ランキングは試合前と同じ3位でフィニッシュしました。赤羽選手も暫定ランキングのままの5位でした。

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二日目の朝、大山のタテストにネコリグを撃っていた橋本選手ですが、スピナーベイトに替えた途端にナイスバスがヒット! パートナーがすかさずランディングに入ります

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余裕で魚をあしらう橋本選手。ロッドを矯めるだけで魚は浮いてきます。

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ボーターとノンボーターの息がドンピシャリ合うと、こうして確実なランディングが出来るのです

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両手で魚の側線の部分を掴む。これで魚は暴れません

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ネコリグを何度も通したところにスピナベを入れてみれば一発で来た推定1500g。橋本選手は「やっぱりスピナベだよな」と呟いていました

 ちなみにW.B.S.では優勝にからむ選手はトレーラーでウェイインしますが、二日目の最終はなんと橋本チーム。暫定トップチーム、そしてA.O.Y.の暫定トップの選手が見守る中でのウェイインです。橋本チームを最後にするということは「何かが起こるのか」と全員がステージ前に集まりました。無観客試合でなかったら、最高に盛り上がったことでしょう。

 橋本チームの逆転優勝、そしてA.O.Y.奪取の可能性は極めて低いものがありましたが、1本ずつキロアップをライブウェルから取り出す場面では、暫定トップの選手たちや他の選手たちも「ひょっとして?」とカタズを飲みました。 

結果は前述のとおり3本3425gでしたが、橋本選手の恐ろしさを表しているといえ「らしい有終の美」といえましょう。

ちなみに橋本選手は二日間、スピナーベイトをメインにゲームを展開しましたが、以下のシステムを使用しました。

ROD:ブラックレーベルプラス661MRB-G

REEL:スティーズSV TW SLP セミオーダーモデル

LINE:モンスターブレイブZ 14lb

LURE:スピナーベイト3/8oz

 こうして今年のW.B.S.レギュラー戦は終りました。橋本、赤羽、草深各選手は12月に予定されているクラシックの出場権を保持しており、それが実質の最終戦になります。そこで掉尾を飾ってくれることを期待しましょう。