Ultimate 4月9日号

特集1

凄い! というか

惜しい! というか?

藤田京弥 JBトップ50第一戦で準優勝!

 4月2日から4日までの3日間、九州の遠賀川で開催されたJBトップ50第一戦に於いて、DAIWAチームの藤田京弥プロが3日間トータル9469gを持ち込み、見事に準優勝いたしました。

 前回のマスターズ優勝に続いての準優勝ですから、画期的な成績と称えるべきでしょうが、2日目を終えて暫定トップだったため、連続優勝という派手な幕切れを期待していた我々にとっては、若干残念な印象もあります。

 ですがトーナメントというものはそういったもの。必ず勝てる保証はありません。ですから準優勝という結果に対しては、本人自身もある程度は納得していたようです。

 実際、トートナメント翌日にねぎらいの電話をさせてもらった時も

 「まあ今回はあんなものでしょうね。勝てる感じもありましたが、しょうがないです」と意外とあっさり語っていました。

 実はプラでは上流で爆発的に釣れていたとのこと。7kgは行くんじゃないかと感じたと言います。

 ですが初日には状況が変わり、おまけにフライトが悪く、狙いの最上流に行ってみればそこには河口湖のような大船団が。初日にいい成績を残した選手は皆、そこでタコ粘りしたそうです。

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初日のフライトは最悪。狙っていたスポットにはまったく入れなかったという京弥プロ(PHOTO:BASSER)

 釣りたいスポットは全部抑えられていたので、空いているスポットでなんとか4本絞り出して3588g。それでも7位スタートです。

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船団の中でもしっかり魚をキープする京弥プロ(PHOTO:BASSER)

 釣りとしてはライブスコープを使っての近距離シューティングのように見えても、実は狙いのバスは魚探に写らないボトムに居て岩に寄り添っており、そこを7割はブラインドで撃って行ったとのこと。

 初日の後半から次第に釣れなくなっていたことを察知していたものの、二日目は空きだした最上流部で釣りを繰り広げたら5本5665gというトップウェイト。これで暫定1位で最終日を迎えました。

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二日目にトップウェイトを持ち込み一気に暫定1位に登り詰め、連続優勝にリーチをかけましたが・・・ (PHOTO:JBNBC)

 そして運命の最終日。全員がのた打ち回るスローな一日となってしまい、京弥プロも1本に終わり、結果はご承知の通り。ギルのようなショートバイトが多く、あれさえなければと、話をするうちに少し悔しそうな口振りに変りました。

 具体的なリグはネコリグ。それがメインでした。使用リールは前回と同じルビアス エアリティFC LT2500S-XH-QD。

 「ホントにいいリールです。とにかく軽くて、最高です」

 と絶賛してくれました。

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「トーナメントは最高に楽しい」と常々口にしているように、実に楽しそうな京弥プロ(PHOTO:BASSER)

 次は河口湖で行われるジャパンスーパーバスクラシック。4月10日ですから今週末です。帰宅して早々に練習に移る京弥プロ。「忙しいけどトーナメント生活は楽しいです」と明るく語る京弥プロがどんなゲームを見せてくれるのか、ますます注目したいところです。

 なお、他のDAIWAメンバーの結果は3日目に3158gという単日2位のウェイトを持ち込んだ川口直人プロが総合12位、山下尚輝プロが同14位、篠塚亮プロが同17位、山下一也プロが同21位というものでした。

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兄弟で予選通過してその存在を強烈にアピールした山下一也、尚輝プロ(PHOTO:JBNBC)

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川口直人プロは最終日2位のウェイトを叩き出し、総合12位でフィニッシュ(PHOTO:JBNBC)

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篠塚亮プロは二日目に3332gを釣り一気に予選通過(PHOTO:JBNBC)

特集2

遠賀川といえば...

そうです! ラピッズシリーズです!

●遠賀川が生んだラピッズシリーズ

 今回、JBトップ50が行われたのは遠賀川。となるとすぐに連想されるのが遠賀川のスーパーロコ「ウメキョー」こと梅田京介氏が監修したラピッズシリーズ。具体的にはラピッズブレードラピッズスイマーそしてラピッズテールです。

21.4.9.15.jpgラピッズブレード:ラピッズテールとの組み合わせ

21.4.9.16.jpgラピッズスイマー:スターリングシャッドとの組み合わせ

 

 いずれも遠賀川の急流の中に潜むビッグバスを仕留めるために作られたカレントキラーで、梅田氏が流れの中での釣りを極めた結果生み出されたルアーです。

 そもそも「ラピッズ」という名前からして「ラピッド」という「瀬」とか「急流」という意味の言葉から派生したもの。

 ウメキョー本人も「キャッチーで可愛いでしょ」といたくお気に入り。

 というわけで今回はラピッズシリーズに関して、監修者の梅田氏にカタログに書かれていない部分も含めて語っていただきました。

 梅田氏は「待ってました」とばかりに滑らかに語り始めました。

 「遠賀川に限らずカレントが効いた釣り場では、激流の中での釣りが効果的です。そんなスポットでは筋肉ムキムキのパワフルなバスが釣れるからです。さすがにボディやヒレが鍛えられていますからね。でもライトリグを使っている人が多い。本来ならもっとパワー系のルアーを使うべきです。

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カレントが効いたスポットにはムキムキのキン肉マンバスが潜んでいると梅田氏は語ります。(リールはタトゥーラTW 100H)

 でもいままでは適当なルアーがなかった。リップが付いたルアーではコントロールしにくいし、ましてやトレブルフックが付いたルアーでは枝や葉っぱを拾ってしまいます。となるとブレーデッドジグが浮かび上がってきますが、今までのものではパワーにイマイチ不安があった。ですから何年も前から『こんなカタチのヘッドがいいな』と思っていたものをイラストで表現していました。

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激流専用のブレーデッドジグやスイムジグがあってもいい、梅田プロはそう考えました

 その結果生まれたのがラピッズブレードラピッズスイマーなんです。ブレーデッドジグやスイムジグも使い分けの時代がきました。こういうルアーにも激流専用があっていいと思ったんです」

GTカーから思いついたダウンフォースヘッド

 梅田氏は続けます。

 「急流の中での釣りではルアーの泳ぎが安定しない場合が多く、その対策が一番でした。その結果生み出されたのがダウンフォースヘッド。低重心のヘッド形状です。これが一番の特長です」

21.4.9.17.jpgダウンフォースヘッド

 実は梅田氏はクルマ関係の仕事に従事しており、走行するマシンを下に押し付ける力=ダウンフォースをルアーにも採用できないかと考えていました。

 「流れに逆らいながらルアーを泳がせると、どうしてもバランス崩しやすいものです。しかしヘッドの重心が下にあると泳ぎが安定し、水面に飛び出ることもありません。結果的に長い間泳ぐ層をキープしてくれます。ピックアップバイトが多いのもそのためです。ラピッズブレード、ラピッズスイマーにはこのヘッドが採用されています」

 いかにも梅田氏らしい発想です。そしてラピッズブレードに関する逸話も披露してくれました。

 「実はブレーデッドジグのブレードとヘッドの関係なんですが、近ければ近いほどパワーが出ます。でもそれにはアイの角度を変えなければなりませんでした。それはしたくなかったので、結局ブレードに付いているスナップを改良することでその問題を解決しました」

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スナップに一工夫加えることで、ジグのパワーロスを防いだ、という梅田プロ

 さらにスターリングシャッド5.1とラピッズスイマーの組み合わせについても語ってくれました。

 「ラピッズスイマーとスティーズスターリングシャッドは、実に相性がいい組み合わせですね。スターリングシャッド5.1はテールの動きが細かいので、こちらはガンガンの急流系ではなく、クリアアップされたフィールドで効果的です。そういったところではどうしてもバスはスレますので、スターリングシャッド5.1のような繊細なアプローチができるトレーラーの方が向いていますね。シルエットをしっかりと出すイメージで使ってほしいです」

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より繊細なアプローチを可能にしてくれるスターリングシャッド5.1とラピッズスイマーとの組み合わせ

●ブレーデッドジグの仕事を奪わないラピッズテール

 ラピッズシリーズ3兄弟の末弟、ラピッズテールはラピッズブレード、専用に開発したトレーラーですが、梅田氏はこの製品に関しても言及してくれました。

 「トレーラーに求められることはジグの動きをサポートすることです。逆にいえばブレーデッドジグの仕事を邪魔してはいけません。そんな観点から開発したのがラピッズテール。実はそれまで使っていたトレーラーの改良版ですが、ブレ―デッドジグの動きを過不足なくサポートしてくれます。ホディ下部に高比重ソルト素材を、上部にノンソルト素材を配合したのも安定した泳ぎに貢献しています。ボディに深いスリットが刻まれているため、ハードマテリアルが採用されているにも関わらずフックの刺しやすさも特筆ものです。

 トレーラーとしてだけでなく単体でも使えるのがミソで、ノーシンカーやダウンショットでもいい仕事してくれますよ」

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ジグの仕事を邪魔せず、単体でも使えるというラピッズスイマー

●適したロッド、リール

 ラピッズシリーズに適したタックルとして梅田氏が薦めるのは, 2本ののナナサン。

まず、ラピッズブレードには、

 ROD:リベリオン731MHFB-G

 REEL:ジリオンSV TW 1000P

 LINE:モンスターブレイブZ 16lb

ラピッズスイマーには、

 ROD:リベリオン731MHFB

 REEL:タトゥーラSV TW 103SH

 LINE:モンスターブレイブZ 16lb

 その根拠は

 「まずロッドですが、ラピッズブレード、ラピッズイマーには太軸のサクサスフックが採用されています。そんな太いフックをデカバスのアゴに貫通させるにはMHパワーのロッドが不可欠です。ラピッズブレードには番手の末に「-G」が付くグラスコンポジットモデル。このロッドはカーボンロッドに比べて弾性の低いグラスを使用しているので、ティップがソフトで反発が弱く、リトリーブ中のブレードの振動に呼応してティップが揺れるので、常にラインスラックを出しフルカーボンのロッドですと、ルアーを引っ張りすぎちゃうので、バイト時に吸収する余裕がなく、つんのめることがあります。急流の中で釣るわけですから、ロッドでルアーの動きをコントロールしながら泳層をキープさせるわけです。だからグラスコンポジットが釣りやすいんです。少ないバイトも確実に拾えます」

 「リールは現在はジリオンSV TWのギア比5.5を使っています。ギア比は個人の好みでいいと思いますが、激流の中ではルアーがバランスを崩しやすいので、リカバリーが可能な5.5を私はオススメします。ハンドル長が90mmなので巻きにリズムが生まれますね。ラインはフロロで最低16lbは欲しいです。ブレ―デッドジグには釣る為に拘りのセッティングをしています。」

「ラピッズスイマーには逆にカーボンチューブラーのロッドになります。このロッドはティップに張りがあってリトリーブ時にラインスラックを出しやすく、ルアーのブルブルとした動きを増幅させることが出来ます。ルアーの動きを最大限引き出す、いわゆる弛ませ引きができます。」

「リールは、タトゥーラ SV TW 103SHです。さっきのラピッズブレードにはローギアリールを推しましたが、ラピッズスイマーにはギア比7.1のSHです。理由は二つあって、ワタシはオカッパリというのが前提となってくるので、タックルを増やしたくないというのも理由になってきます。このロッドはカバー撃ち等にも優れているので同じタックルでやりたいので敢えてスーパーハイギアをセットしています。ハイギアで弛ませ引き出来るのか?と言われそうですが、そこの部分は竿の力と竿の角度でわざとスラックを出してあげてスラックだけを巻くようにハンドルの巻くスピードを調整すれば良いので、スイムジグに関してはスーパーハイギアで大丈夫です!!」

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ラピッズシリーズに梅田プロが薦めるロッドはリベリオン731MHFB-G731MHFB

 

●とにかく流れの中に投げてください

 最後に梅田氏はラピッズシリーズに関して、こうまとめてくれました。

 「ラピッズシリーズは通常のブレーデッドジグやスイムジグと異なり、とにかく流れの中に投げるのが一番メリットを生かせる使い方です。泳ぎが目視できる浅いところにガンガン投げてほしいですね」

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急な浅瀬にガンガン投げて、ラピッズシリーズで生きのいいバスを釣ってほしい、と願う梅田プロ