Ultimate 6月11日号

特集

Mr.STEEZ」並木敏成、

2021New Rodを語る

その1 MACHINEGUNCAST 3部作

 いずれもキラ星のごとき輝きを見せている2021年STEEZ ニューロッドは、いうまでもなくDAIWAが誇る圧倒的な厚みを持つテスター陣との妥協を許さぬモノ作りによって生み出されたもの。それら怒涛の15アイテムは、現時点における究極の素材、製法を駆使して製作された珠玉の作品揃いで、そのパフォーマンスは最終的にアングラーに「釣果」という具体的な答えを導き出すものです。

 そんな中で15アイテム中5アイテム、実に3分の一を担当した並木敏成プロの力の入り方には括目すべきものがあります。

そこで今回のUltimateでは八王子の氏の事務所に伺い、改めてこれら5アイテムに関して語っていただきました。

 今年発行させていただいたバスカタログにも並木プロが監修したロッドに関して細大漏らさず表現されていますが、その補足、追加として貴重なお話を伺うことができました。

 それでは第一回目としてMACHINEGUNCAST 3部作に関する同プロの語りを再現してみましょう。

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並木プロは2021年のMACHINEGUNCAST 3部作には絶対的な自信を持っている、と胸を張った

向かって右がMACHINEGUNCAST TYPEⅠ,リールはSV LIGHT LTD

中がMACHINEGUNCAST TYPE Ⅲ, リールはSTEEZ SV TW 8.1:1

左がMACHINEGUNCAST TYPE Ⅱ, リールはSTEEZ SV TW 8.1:1

●ファストムービングロッドの権化、さらにベイトフィネスまで欲張った

 「今年発表されたMACHINEGUNCAST 3部作は自分が長い間求めていたバスロッドがやっと完成したと言えるもので、どれも渾身の出来栄えと胸を張ることができます。

 MACHINEGUNCAST 自体、長い歴史と伝統を持つものですから、それらを使ったことがあるシニアアングラーは名前を聞いただけだと過去のロッドと同じテイストを連想するでしょう。しかし、ファストムービングルアースペシャリティーというコンセプトは同一であっても、ロッドそのものはまったく違います。

 たとえば2007年モデル(以下07)のTYPE-ⅠとⅡと比較してみても、その違いは歴然です。どちらがいいとかいうことではありません。07は粘り系の巻き物メインのロッドとしていまでも十分に使えるものです。

 それに対して2021年モデル(以下21)はより軽く細く、それでいてパワーがグンと上がりました。結果的にワーミングへの対応力が倍加されました。

07はどちらかといえば表示よりは少し軟らかかったような印象があります。もっと分かりやすく言うと、07は乗せ重視のグラスロッドフィーリングで、ちょっと重いけど粘る、みたいな感じでした。

 21はグラスロッドテイストは残しつつも中・高弾性寄りのブランクが軽さとパワーを生み出し、故にバーサタイル性が加わりました。昔からこういうロッドが欲しかったんですが、当時の技術力ではこうした軽くてパワーがあるものは出来なかったということでしょう。

 軽くて振り抜きのいいパワー系のロッドを作ろうとすると、当時ではワーム系のパリンパリンのブランクになってしまいましたからね。

TYPE -ⅠとⅡの違い

 MACHINEGUNCAST 3部作のTYPE-ⅠとⅡは長さも同じで、兄弟のようなもの。単純にパワー違いです。ワイヤーベイトの適合ウェイトで説明すると、TYPEⅠは中小型、つまり3/16ozから1/2ozぐらい。それに対してTYPE-Ⅱは1/4ozから5/8ozぐらいまでが基準です。

 TYPE-Ⅰはベイトフィネス系の釣りも十分にこなしつつ、通常のプラッギングにスペシャルな能力を持つのに対し、TYPE-ⅡはMHクラスのバーサタイルモデルとして、ワイヤーベイトの釣りから高比重ノーシンカーなどはもちろん、ライトカバーでテキサスリグを打ったり、ワームのスイミングなども高度にこなします。

つまり、ワーム系と巻きモノの両刀使いです。標準的なワイヤーベイトの釣りなら、TYPE-Ⅱの方がストライクゾーンど真ん中ですね。

 あとで述べますがTYPE-Ⅲもコンセプトは同じです。でもレングスが違い、さらにパワー系のテイストが強いロッドです。

●感動すら覚えるキャスタビリティー

 MACHINEGUNCAST 3部作に共通して言えることですが軽く細く、そしてパワーのあるブランクは空前のキャスタビリティーを産み出しました。

 とくにTYPE-Ⅰのキャスタビリティーは絶品です。シングルハンドキャストが楽にできます。以前のロッドでもできないことはなかったんですが、負担がまったく違う。アメリカでの試合に出ていた頃は今より体力はあったんですが、それでもキツかったことを覚えています。

 ということは一般のアングラーにとってシングルハンドキャストはほぼ無理だったのかも。

 でも21モデルのTYPE-Ⅰなら非力な人でも振り切って投げることができます。そもそもポッパーとかスモールクランクは両手で投げるよりシングルハンドの方が飛ぶんです。

 小さ目のルアー、つまり10グラム以下、5gから7gのルアーはシングルハンドの方が絶対に飛ぶしアキュラシーも出る。テンポも速くなります。

 何故ならばシングルハンドの方がロッドにルアーのウェイトを乗せる『間』を作ることができるからです。そして手のしなりを使ってルアーを押し出すことができる。さらにスイングの振り幅も大きくできる。ダブルハンドだとロッドだけの振り幅ですが、シングルハンドは腕もロッドの一部として使えるからです。

 ということはより軽いルアーも投げられるということです。それを可能にしたのが、21 STEEZのブランクなのです。

ティップの追随性が感度をも上げた 

 MACHINEGUNCAST 3部作に共通するもう一つの進化がファストムービング系の釣りにおけるティップの類まれなる働きです。TYPEⅠとⅡ、Ⅲのティップは微妙に違うんですが、それぞれの適合ルアーにおけるパフォーマンスが素晴らしい。

 通常、軽くて張りのあるロッドを作ると、クランクベイトなどを巻いた時にティップが入ってくれず、ピーンと張ったままになってしまいがちです。それではノー感じのリトリーブしか出来ない上にルアーも良く泳ぎません。

 ところが今回のMACHINEGUNCAST 3部作はワームの釣りもできるシャッキリ感を持ちながら、巻き物の釣りでもティップがちゃんと入ってくれる。

 先日、津久井湖でMACHINEGUNCAST TYPEを使った動画を撮りましたが、6.7gのタイニークランクをリトリーブしているとルアーがウォブルするテンポに合わせてティップが一回ずつ入ってくれる。ルアーと同期して左右に『クックッ』と首を振るんです。

是非、並木プロの実釣解説動画をご覧ください!

↓ここをクリック!

https://youtu.be/HYF-rDEo80I

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MACHINEGUNCAST TYPEⅠはタイニークランクの動きにさえティップが追随してくれる。その恩恵は計り知れない、と並木プロは力説する

 早巻きしても最初はグーッとティップが入りますが、その後はルアーの動きをティップが表現してくれる。

 ということはルアーの動きも良くなるし、バイトも分かりやすくなります。根掛かりのも危険も伝えてくれます。

要するに釣れるということです。

口で言うと普通のことのように感じられますが、実はこういうロッドってなかなかないんですよ。

というわけでMACHINEGUNCAST TYPE-ⅠとⅡはより細分化されたファストムービングの釣りを可能にしてくれるばかりでなく、ベイトフィネスからアベレージクラスのワーミングまでを守備範囲にしたスーパーバーサタイルロッドといえましょう。

●そして完結篇はTYPE-

 MACHINEGUNCAST TYPE-Ⅲは僕が求めていたものがやっとできた、という満足を与えてくれたロッドです。ひと口に言うと、過去のハリアーをショートロッド化した様なロッドです。

 過去のMACHINEGUNCAST TYPE-Ⅲも巻き物メインでカバー撃ちもそれなりにこなしたロッドでしたが、アワセた時にスルッと抜ける軟らかさとか、キャスト時のブレも多少気になりました。といっても、僕の要求するレベルが高かったからそういう印象をもっただけで、一般的には十分優れていた作品でした。

 今回のMACHINEGUNCAST TYPE-Ⅲはいま言ったように過去に絶大な支持をいただいたハリアーの6フィート10インチ版の様なアイテムで、ブランクが完全に生まれ変わりました。

 これもX45フルシールドのおかげでキャスト時のネジレ、歪みが削減されたので、小気味良くルアーを飛ばすことができます。オーバーヘッドキャスト時よりも、サークルキャストのようにブランクをねじる投法だとそのメリットをダイレクトに感じることができます。

 それは結果的に飛距離とアキュラシーをも生み出してくれますね。フッキングにもダイレクト感が生まれるし...。

 3/4ozから1oz程度の大き目のスピナーベイトやスイムジグを投げてみると、気持ちよく決まってくれます。

 硬めのロッドですが、このティップもTYPE-Ⅱのように適度に硬く、例えばスピナーベイドのブレードの回転に素直に追随してくれ、リトリーブしているとティップが入ってプルプル震えるのを目視することができます。同じパワーのロッドで、こういうレスポンスはなかなかできないものです。

 かといって軟らかいだけのロッドでは、ルアーのアクションを吸収してティップが入りっ放しになってしまいます。その点、このTYPE-Ⅲのティップは硬い部分が長いので、ルアーの動きを確実に手元に伝えてくれるんですね。

 このパフォーマンスはラバージグ、テキサスなどの撃ちモノの釣りに於いても十分に発揮されるので、まさにヘビーバーサタイルというカタログのコピーがジャストにハマるロッドです。

 こうして今回はMACHINEGUNCAST 3部作について語らせてもらいましたが、結論として、ロッドのキャラクターを最大に表現するSVFナノプラスという素材、X45フルシールド、3DXやエアセンサーシートなどのテクノロジーがそろい踏みした結果、こうした素晴らしいロッドが出来たのだと思います。

 3タイプの特性をよく理解した上で使い分ければ、1ランクも2ランクも進化した釣りを体感できると思います。

......と並木プロは一気に解説してくれました。次回はハリアー610とスカイフラッシュ66についての語りをご紹介します。お楽しみに!