Ultimate 9月10日号

特集1

藤田京弥、山下尚輝

年間レースでワンツーフィニッシュなるか!?

JBマスターズ最終戦 DAIWAカップ

 いよいよ「その時」がやってきます。 9月11、12日の両日、長野県・野尻湖において2021年JBマスターズの最終戦「DAIWAカップ」が行われるのです。コロナ禍に翻弄されたJBマスターズの一年でしたが、なんとかファイナルを迎えることができました。

 最終戦はすべてのアングラーが注目するゲームですが、DAIWAにとって今年はさらに注目度が高まります。というのは、藤田京弥、山下尚輝両プロが年間チャンピオンにリーチをかけているからです。暫定ランクは藤田プロが1位、山下プロが5位。つまり、ひょっとするとワンツーフィニッシュもあり得る状況なのです。これはもう、カタズを飲んで見守るしかありません。

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暫定トップの藤田京弥プロ

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暫定5位から虎視眈々と年間チャンピオンを狙っている山下尚輝プロ

 というわけで、次回はどちらかの年間チャンピオン獲得レポートになるのか、乞うご期待ということで、他のDAIWAメンバー・鈴木隆之、室町雄一郎プロらの動向も合わせてご注目いただきたいと存じます。

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(JB優勝経験も有り、実績抜群の鈴木隆之プロ、室町雄一郎プロ)

特集2

こ、このサオは釣れる!

丸山智幸が熱く語るホバスト、ミドスト、ボトストスペシャル

BLX SG 641ULFS

●野尻湖「どストライク」なロッド

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 9月11日からJBマスターズの最終戦・DAIWAカップが行われる長野県・野尻湖はいま、全国のバスアングラーが注目するレイクですが、そこでの腕利きガイドとして著名なのがDAIWAチームの丸山智幸プロ。なんたって野尻湖畔生まれの野尻湖畔育ちですから、当然このレイクは知り尽くしているわけで、ここでの釣りに関しても右に出る者はいないほどの存在です。

 そんな丸山プロが開発に携わったロッドがBLX SG 641ULFS。これがいま、野尻湖で釣りをするアングラーの間で大評判になっているようなのです。ということで今回は丸山プロにこのロッドがなぜ凄いのか、具体的にお話を伺ってみました。

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人気プロガイドの丸山プロ、JBトーナメントでも上位入賞など活躍。

 「こ、このロッドはとにかく凄いですよ。何が凄いって、実際に釣れるんです。こんなロッドは過去にありませんでした。他のレイクでも釣れるでしょうが、野尻湖においてはまさに『どストライク』なロッドです」

 丸山プロは電話口で興奮気味にこう語り始めました。そして深呼吸して少し落ち着いてから、ゆっくり解説を始めてくれました。

●以前の主流は「乗せ調子」

 「開発の段階ですでに凄いと感じていました。何年も前からたくさんのプロトを使って野尻湖でホバスト、ミドスト、ボトストの釣りを行っていたんですが、みんなそれなりにいい感じだったんです。でも、昨年のテストでひときわ釣果を伸ばしたモデルがありました。そのパフォーマンスは僕にとって衝撃的でした。

『こ、このロッドは釣れる』そう確信しました。

そこから仕上げられたのが現在世に出ているBLX SG 641ULFSなんです。何が違うのか、それはこれからお話します」

 実は丸山プロは以前から「こういうロッドが欲しかった」といっていました。

 「でも世の中に存在しなかった。ルアーを意のままに操れるロッドはなかったんです。何故なかったか? その理由はカンタンです。求めるモノ(内容)が相反する(矛盾した)ものだったからです。当時は夢のロッドと思い描いていました。

「野尻湖でボトスト、ミドスト、ホバストの釣りをする場合、以前は乗せ調子、クワセ重視のロッドを使っていました。軽いリグを飛ばせ、魚にルアーを違和感なく吸い込ませ、そのバイトをロッド全体でスィープに乗せられるロッドが必要だったからです。

例えばスティーズの641ULXS-ST=ミストラルというロッドがありました。

メガトップというソリッドトップを搭載していたこのロッドは誰でも軽いルアーを投げることができ、しなやかなブランクでバイトを乗せやすい名作でした。いわば魚に合わせたロッドでした。

 でも、惜しむらくはロッドの操作性がイマイチでした。クワセ重視のソリッドティップロッドはどうしても自分の手でルアーをアクションさせるという感覚が薄れてしまうんです。当然です。喰い込みの良いしなやかなソリッドティップ、そしてスィープに乗せやすいフレキシブルに曲がるブランクは、ルアーを細かくキビキビアクションさせる操作には不向きです。さらにルアーがどんな状態なのか把握する手感度も劣ります。 

 だったらアクション重視のシャキッとしたピンピンのロッドを使えばいいじゃないかと思うでしょうが、それではこの種の釣りに必要なクワセ能力、乗せ調子が損なわれてしまいます。

 つまり乗せ調子、クワセ調子と操作性、手感度は互いに矛盾する要素で、そこを両立させたロッドはなかったのです。

 それではそんな時代に私らはどうしていたかというと、乗せ調子のロッドを使ってテクニックを駆使してルアーを操っていたわけです。慣れれば出来ないことはありませんが、一般のアングラーにはかなり難しい作業でした」

●いままでの乗せ調子のロッドとは根本的に違う

 丸山プロは「以前は乗せ調子のロッドを使ってテクニックを駆使してルアーを操作していましたが、それでも限界があった」といいます。

 「さすがに乗せ調子のロッドでは、ノー感じになりがちなラインスラックを使ったスイミング系の釣りで細かな仕事はできません。ルアーが必要以上に寄って来ちゃったり、沈んじゃったり、要するに意のままに操れないわけです。例えばミドストやホバストの釣りでは、ルアーを目で見て操作するわけですが、乗せ調子の軟らかいロッドだと、ルアーを大きく動かすことは容易ですが、細かく動かそうとしてもルアーが動きすぎたりするわけです。魚が下から湧いてくる時など、ルアーが手元に寄って来ちゃうんですよね。そこで止めたくても止められない。

 また、ボトストの釣りではルアーが水中でどうなっているか、自分の手に伝わるイメージが欲しいですよね。乗せ調子の柔軟なロッドは、ラインスラックが出ている状態での手感度が無いので、自分が操作しているリグの状態が把握できず、釣りそのものがノー感じになってしまい、釣っているという感覚がなくなってしまう。

 だからクワセの能力を持ちながら自分の思い通りにルアーを操作できる、手感度のあるロッドが欲しかったわけです。分かりやすく言えばさっき話したクワセが得意なミストラルにロッドを操作する楽しさを加えたロッドが欲しかったということです。

 様々なトライ&エラーを繰り返し創り上げられたのがこのBLX SG 641ULFS。

自分がルアーの状態を把握しながら操って魚に口を使わせ、前アタリから感じ取れる手感度がありながらそのくせバイトを弾かずにしっかりと乗せることができるロッドです。勝手に掛かっちゃうんじゃなく、ルアーをイメージしながら自分が操作して掛けて乗せる。

 操作性とクワセ能力、乗せと掛け感を兼備している、つまり矛盾を解決してくれたロッドなんです。 

 私らは感覚で「こういうロッドが欲しい」と依頼しただけですが、それを実現してしまうDAIWAロッドエンジニアの感性と技術力はスゴイですよ。

 だから魚のバイトを弾かずスィープに乗せることができるしなやかさを持ちながら、ルアーを操作する時にはシャキッとするブランクが生まれた。チューブラーブランクの絶妙なテーパーデザインが「乗せ調子」と「手感度」「操作性」「掛け感」いう相反する機能を備えたロッドを生み出したんだと思います。

 特筆されるべきは、このロッドを使えばどんなレベルの人にでもホバスト、ミドスト、ボトストの釣りが感覚として理解できるということです。手感度があるから水中のルアーの状態をイメージしやすく、飽きずに集中して続けられる。つまり釣りが簡単になるわけです。実際にガイドのゲストさんに使ってもらうと「目からウロコだ」と驚かれます。

 ホント、こんなサオはなかったですよ。

 そもそも軽さは衝撃的。だから繊細な操作ができる。もちろん普通の釣りも高度にこなします。野尻湖ではしませんがジグヘッド、ダウンショット、ノーシンカーもいける。つまりフィネスのスビニングの釣り全般をこなす汎用性ももっています。

 とにかく「こういうロッドを作ってほしい」という僕の要求を具現してくれたDAIWAロッドエンジニアの感性とそれを形にする技術力は凄いといわざるを得ません」

 丸山プロは一気にこう語ってくれました。

 みなさんも是非、このロッドの不思議なパフォーマンスを味わってみたらいかがでしょうか。きっと丸山プロのガイドゲストさんのように、目からウロコで新しい世界が拓けるでしょう。