Ultimate 7月22日号

特集1

橋本卓哉が語る

試合で結果を出すタックル

  • タックルの優劣が成績を左右する

 W.B.S.トーナメントにおいて今年3戦を消化した現在、年間暫定ランキング1位につけているDAIWAチームの橋本卓哉プロ(2位は同じくDAIWAチームの赤羽修弥プロ)。ここ数年1位、2位、3位と安定したランクで推移していますが、何より年間タイトルにこだわっている橋本プロですので、今年はぜひとも首位に返り咲きたいところでしょう。

 そのために7月24日の第4戦を目前にした今、いつも以上にプラに時間を割いているようです。今回はそんな橋本プロに、最新の霞ヶ浦・北浦で釣果を手にするためにはどうすればいいか、そんなお話を伺ってみました。

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こうした手厚いサポートに応えるためにも結果を出したい、と橋本プロは熱心に練習に励んでいるのです

 ご多分に漏れず橋本プロも現在のフィールドコンディションに関して「超厳しい」と言及しています。

「とにかく練習を重ねて自信のあるエリア、自信のある釣りを掴むことが大切です。そうでないとノーフィッシュに終わっても何の不思議もない。どんな選手にもその危険性がある。それが現状です。その不安を消すにはどうすればいいのか、それには練習しかありません。ですから今回は1デイのトーナメントにしては長い、5日間のプラを予定しています」

 いつも飄々としている橋本プロですが、実は地道な練習をコツコツと続けるタイプです。でなければ常に年間ランキング上位をキープできるわけはありません。それほど今の霞ヶ浦、北浦は甘くないのです。

 そんなレイクコンディションを前にして、橋本プロが力説するのはタックルの重要さです。

「厳しい環境においては、どうしても細かく丁寧な釣りを心がけるしかありません。そうなると当然、アングラーのスキルも問われますが、それ以上にタックルの優劣がモノをいいます」

 橋本プロは最初にこの点を力説しました。

「好調時の霞ヶ浦・北浦でしたら、スティーズスピナーベイトなどの巻き物で手返しよく効率的に釣るのが一つの手段でした。私のスタイルもどちらかといえばその路線で、何度も結果を出してきました」

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昨年のクラシックではスティーズスピナーベイトでビッグフィッシュ賞に輝いた魚を獲りました。そういう状況もあったのです

「ですが今は巻き物で釣れる個体が非常に少なくなってきました。そうしたルアーを追ってくれないのです。その理由としてはメインベイトがエビなどスローに動く甲殻類なので、ワームっぽい動きにしか反応しない、ということが考えられますが、個体数の減少なども影響していると思います。

 そんな状況ではスローなワーミングがメインになります。そしてタックルの質が問われます。巻き物のタックルは投げやすくバラしづらく、一日振っても疲れないバランスの良さ・軽さなどが優先されますが、厳しい状況におけるワーミングタックルは、それ以上の繊細な能力が問われます。

 具体的には手元に伝わる感度(手感度)の良さ、一日投げ続けられる軽さ、そしてルアーもノーシンカーなどの軽いモノがメインになるので、それらを自在にコントロールできる操作性が要求されます。巻き物のタックルよりも投げる回数が圧倒的に多いのでキャスタビリティも重要です。もちろんリールもラインも重要です」

  • コンディションが厳しくなった頃、救世主が現れた

 橋本プロは続けてくれました。

「10年前のDAIWAタックルも一流の性能を持っていましたが、スティーズのロッドがリニューアルされた頃から進化が顕著で、完全に1ランク違うレベルに達したと感じました。ちょうど霞ヶ浦・北浦が釣りにくくなった頃で、ワーミングの釣りに頼らざるを得なくなったタイミングと同じだったので、その違いを肌で感じることができたのです。まさにプロにとっては救世主といえるものでした。

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ここ数年のスティーズの進化は素晴らしい。フィールドコンディションがタフになるタイミングにおいては、大きなアドバンテージでした(橋本プロ)

「具体的な違いとは、それまで取りづらかったアタリが取れる感度、そして気持ちよく投げられるキャスタビリティです。最先端の素材、製法、そして設計により、スティーズロッドは完全に頭一つ抜けた性能を有しています。普段の釣りはもとより、試合においてはさらに大きなアドバンテージになってくれています」

 そして橋本プロの解説は徐々に具体的な分野に入っていきました。

「こうした渋い状況の中で、例えばシャローを攻める場合、どうしてもピッチングやフリッピングで岸ギリギリを攻めることになるので、ネコファットのバックスライドセッティングがキーになります。その場合、ロッドはスティーズ・ブラックジャック(C68M+ -SV・AGS)がベストチョイスといえ、私も愛用しています。先代のブラックジャックもパワーがあっていいロッドでしたが、それと比較して21ブラックジャックは1ランクどころか2ランクも3ランクも進化していますね。AGSなどの画期的新技術が加わったからだと思います。

 ノーシンカー(バックスライドを含む)は、感覚的にプアな釣りになりがちです。シンカーがないので、ボトムや障害物の状態が分かりにくいわけです。そんな条件でも、ルアーが接した物がアシなのか小枝なのか、それらの微妙な違いがわかるほど21ブラックジャックは感度がいい。情報をたくさん正確に伝えてくれるわけです。当然、バイトも取りやすくなります。

 実際に最近『いまの魚、このタックルじゃなかったら獲れなかった』『バイトも、21ブラックジャックだから認識できた』というケースが頻繁に発生しました。こうなると戦略よりも戦力が釣るためのキーファクターとなりますね」

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6月の第3戦ではパートナーとメリハリをつけた釣りを繰り広げて準優勝したが、それでもキーはノーシンカーだった

「いまの霞ヶ浦・北浦では、チャンスは少ない時には一日数回しかありません。ですから少しでも感度が悪いと、貴重なチャンスを逃してしまいます。実際、それが釣果の差となって現れています。巻き物のタックルは昔のものでも使えないことはなく、アングラーのスキルである程度は補えるのですが、繊細なワームの釣りを極めようとするなら、最先端のタックルに頼るしかありません。アングラーの力量だけでは、どうしようもない世界があるのです」

 そして橋本プロは最後にこう結論づけてくれました。

「霞ヶ浦・北浦の難しさはこれからもしばらく続くでしょう。ですからトーナメントにおいても景気のいい結果は期待できません。地味ですがスローな釣りで一本一本確実に拾っていくことになります。そう言う時にタックルの実力がモノをいいます。私はその点、恵まれた装備とともに戦うわけですから、W.B.S.を始めとする今年の残りの試合でも結果を出し続けたいと思います」

 橋本プロのW.B.S.第4戦は7月24日に開催されます。他のDAIWAプロと同様に活躍を期待しましょう。

特集2

THE WILD CARD、JBトップ50にもご注目!!

 8月がオープンマンスになっているバストーナメントですから、7月は上半期のクライマックス。数多くの試合やイベントが組まれています。

 一つがW.B.S.第4戦の前日に九州の遠賀川で行われるBasser Allstar Classic THE WILD CARD西日本大会。これは、10月29、30の両日、千葉県佐原市で開催予定のBasser Allstar Classic本戦への出場権を争う1デイトーナメントです。このTHE WILD CARD西日本大会には全9名の選手が参加予定で、そのうちDAIWAチームからは青木唯と山下一也の両プロがチャレンジします。

 先日、山下一也プロに連絡する機会がありましたが、気合十分でした。とくに夏の遠賀川には自信を持っているとのこと。

「1番しか意味がない試合ですから、全精力をつぎ込みます」と意気込みを語ってくれました。

 青木プロともども、健闘を祈りたいと思います。

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THE WILD CARDという初めてのチャレンジに燃えている山下プロ

 そして7月29、30、31日にはJBトップ50第3戦が北浦で開催されます。

 DAIWAチームからは藤田京弥、青木唯、宮嶋駿介、山下尚輝、川口直人、篠塚亮、山下一也、泉和摩(ランキング順)らの各プロが出場します。堂々たる布陣といえるのではないでしょうか。

 北浦といえばすぐに連想されるのは宮嶋プロ。昨年の7月、同じ北浦で行われたトップ50において、ルーキーながら5位に入賞するという離れ業を演じました。

そして7月10日のNBCチャプター北浦第2戦でも優勝しています。

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教師の職を辞してまでプロにこだわった宮嶋プロ。北浦は「庭」だけにマイゲームで押してほしいところです

 今回も注目度大の同プロですが、プリプラを終えた本人に話を聞いてみると......

「いい感じでした。作戦はマル秘ですが、いいパターンを掴めました。天気次第ですが、かなりやれそうな気がしています」

 このように心強い答えが返ってきました。他のDAIWAプロ同様に注目したいところです。皆さまもぜひご声援を!

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