特集1
青木唯、ジャパンスーパーバスクラシックを圧勝!!
2022年はトータル11勝!!
その大記録を支えたモノは?!
去る11月5、6の2日間、山梨県の河口湖において、選ばれた者だけが出場できるジャパンスーパーバスクラシックが開催されました。結果は皆さまご存知のようにDAIWAチームの青木唯プロが1日目8,780g、2日目6,020gを持ち込み、トータル14,800gという破壊的なスコアを叩き出し圧勝いたしました。ちなみに準優勝は藤田京弥プロ。つまりDAIWAチームのワンツーフィニッシュというわけです。
スーパーバスクラシックで11勝目を挙げた青木プロ。その勢いは凄まじいものでした
こう書くと余裕の勝利のような印象を持たれるかと思いますが、青木プロの戦いは今回もギリギリの綱渡りだったようです。1日目こそ目星を付けていた魚を順調に獲ってハイスコアをマークしたものの、それらを釣り切ってしまった2日目は魚を探しながらラン&ガンする釣りに終始しました。
以前このアルティメットでもご紹介したように、青木プロのサイトフィッシングは、魚を見つけたら数投して食わなければ早目に見切りをつけ、新たなターゲットを探すという効率最優先のスタイル。それが今年一年、好結果を残してきた秘訣でしたが、今大会2日目はその釣りが思うようにいきませんでした。
しかし、帰着9分前に2,500gの3本目を釣って優勝をもぎ取りました。この執念の1本ともいえる魚を獲れたのは、あくまでもネイティヴにこだわった結果で、2日間トータル14,800gというスコアは現在の河口湖としては恐らくMAXだと思われます。
この結果には準優勝の藤田京弥プロも「スゴイ」と感心していました。
青木プロ本人も「最後の最後にキッカーが釣れるという、滅茶苦茶ドラマチックな展開でシビれました」と語っていました。スコアをまとめにいかず、あくまでもビッグバス狙いに徹したその戦い振りは見事というしかありません。
これで今季の青木選手の勝利数は11! 空前の記録です。
- ノーミスを支えてくれたクイックドラグ
11月のある日、トーナメントシーズンが終わっても相変わらず毎日釣り場に出ている青木プロに、DAIWAのタックルが今年の成績にどうコミットしたのか、伺ってみました。
すると青木選手は滑らかな口調で答えてくれました。
「やっぱりクイックドラグが搭載されたスピニングリールの働きは絶大でした。今季の優勝は河口湖が8割以上で、その全てに貢献してくれました。とくにミドストで掛けた魚はすべて獲ることができました。ノーミスです。1本もミスしなかったんです。しかもバスは全部デカかった。これは凄いことです。
楽に勝っていたように見える今年の試合ですが、実はいつもリミットギリギリでした。ですから、1本でもミスしていたらどの試合も優勝はありませんでした」
ここまで一気に語り、一息ついてから青木プロは続けてくれました。
スーパーバスクラシック1日目、8,780gというビッグウェイトで首位に立った青木プロ。「クイックドラグのおかげでノーミスでした」
「そもそもミドストはバレる危険性が高い釣りなんです。シングルフックでもバレやすいのにプラグはトリプルフックですから、余計にバレやすい。原因はラインブレイクではありません。スティーズフロロX'LINKの4lb.を使っていますので、まず切れることはありません。フックが伸ばされてバレるんです。
なんといっても相手はデカバスです。そんなバスに急に突っ込まれると、スムースにドラグが出ないとかなりの確率でフックを伸ばされます。しかも大きなバスだとフックの先端しか掛からないケースが多く、テコの原理でよりフックが曲がりやすい」
青木プロの描写は実に説得力があります。
「そんな危険性があるデカバスを全部獲ることが出来た。これはもう魚の突っ込みを瞬時にいなしてくれたクイックドラグのおかげとしかいえません。
クイックドラグ搭載のリールを使う前は、事前に大体のドラグ調整を行って使っていました。そしてファイト中にドラグに触ることなどほとんどなかったんです。しかしクイックドラグが搭載されたリールならファイトしながら瞬時に調整できる。これはズバリ武器です。
確かに最初は慣れるまで少し時間がかかりました。でも使いこなしてからはキャッチ率は格段に上がりました。これナシでは僕のスピニングの釣りは考えられません」
そして青木プロは最後に、こうまとめてくれました。
「今年の河口湖の好成績はクイックドラグのおかげです。間違いありません」
- 「ジリオンを初めて使った瞬間、全部これに替えたいと思った」
青木プロはベイトキャスティングリールに関しても言及してくれました。マスターズの三瀬谷戦、野尻湖戦で優勝した時などは、ジリオンSV TW XHが活躍したのです。
JBマスターズ野尻湖戦のウイニングタックル。ジリオンも勝利に貢献しました
「ジリオンはよく飛ぶリールですが、僕の釣りには飛距離はあまり関係ありません。それよりSV BOOSTのブレーキが画期的でした。初めてこのリールを使った時、全部これに替えたいと思ったほどです。
ダイヤル調整で簡単にセットでき、あとはマグネットが自動的にブレーキを効かせてくれる。最初に設定しておけば、あとはそんなに気を遣わなくてもキャストが決まってくれます。
バックラッシュの心配もないからストレスなく釣りができる。ですから野尻湖や霞ヶ浦で楽に釣りができました。
このリールも僕の好成績に貢献してくれたと思います」
こう語ってくれた青木プロ。ちなみに最近はベイトキャスティングリール使用時も、ファイト中にドラグを緩めたりすることがあるといいます。
「それもアリだなと思うようになりました」
こうして常に新しい技術を身に付けようと努力している青木プロ。飽くなき追求を続けているからこそ、年間11勝などというとてつもない記録を作ることが出来たのでしょう。この先も大いに楽しみな青木プロです。
特集2
橋本卓哉、
W.B.S.クラシック準優勝!!
W.B.S.年間ランキング上位12名で争われるクラシックは11月19、20の両日、お馴染みの土浦新港を起点に行われました。今回で30回目を迎えたこの大会、優勝は30歳の若手、袖山敦志選手でしたが、準優勝はDAIWAチームの橋本プロ。その差わずか420gでした。実に惜しい結果といえます。
準優勝のコールを受ける橋本プロ。やり切った感が伺えるポーズです
というのも橋本プロは今年、W.B.S.のA.O.Y.に輝いており、クラシックを勝てばW.B.S.の歴史の中で数少ないA.O.Y.、クラシック同時獲得という「グランドスラマー」の栄誉に輝いたからです。
ですが同プロは「しょうがないですね」とサバサバと語っていました。
今回のゲームも少し前に行われたBasserオールスタークラシック同様、極めてタフな状況に襲われ、リミットメイクは両日ゼロ、優勝者の総釣果も4本という結果でした。
しかし、そんなことは先刻ご承知の橋本プロはしたたかな戦略を立て、1日目1本と出遅れたものの2日目は2本のキロアップを持ち込み、準優勝に輝いたのです。
A.O.Y.とクラシック準優勝。今年の橋本選手は「突き抜けた」印象を与えます
「全体的に釣れていないので2日目に4kg釣ってくれば望みはある」と読んだ橋本プロは最初、オールスターで釣った夜越川に行きました。しかし水が悪くすぐにUターン、セカンダリースポットの東浦・園部川まで走りました。グッドサイズが複数釣れるという川です。
「ここで釣れなければ諦める」と言うほど自信がある川で、その期待は裏切られることはありませんでした。前述のように2日目のビッグフィッシュ賞に輝いた1,375gを含む2本の魚を獲ったのです。
これが2日目のビッグフィッシュ賞を獲得した1,375g
もう1本獲れば優勝でしたが、「その1本が難しいんですよ」と同プロは試合後に言及していました。
橋本プロが園部川で投入したリグはギル系ワーム+ウェイテッドフック。7gと一見重めですが、スパイラルフォールするのでゆっくり落ちていくのが特徴です。それをアシのエグレやストラクチャーに絡めてフォールさせ、バイトを待つわけですが、橋本プロは「そんな釣りにこのロッドが最高なんですよ」とSTEEZ C70H-SV・ST FURYを見せてくれました。
バイトを「聞く」ことができるFURYが準優勝のキーだった、と語る橋本プロ
「ワームがボトムやストラクチャーの何かに引っ掛かった時、『聞く』ことがこの釣りの最大のキモなんです。バイトか単なる引っ掛かりか分かりませんから、とにかく『聞く』んです。でもそんな時にワームがプルンと外れると、もしそこにバスが居たら違和感を与えてしまいます。その点、このロッドはティップがソリッドなので、引っ掛かっても外れずに我慢してくれるんです。アタリが分かりにくい時がある釣りなので、とにかく『聞く』。それができるのがこのロッドなんです」
橋本プロのタックルは以下のとおり。
REEL:ジリオン SV TW
SPOOL:SLPW RCSB SV BOOST 1000S G1
LINE:スティーズフロロ X'LINK 14lb.
SINKER:STEEZ ウェイテッドフックSS #5/0 (1/4oz)
「最近、練習を重ねていくうちに試合運びの『コツ』のようなものを掴んだので調子がいいんです。来年も行けると思いますよ」
橋本選手は試合後、こう語っていました。期待したいと思います。
ちなみに同じDAIWAチームの草深幸範プロは4位でした。
2日目にナイスサイズを持ち込んだ草深選手は4位