特集
This is臨機応変!
鈴木隆之プロが語る「タックルチョイスの妙」
- 釣り方は一択。しかしタックルは複数セット
バスフィッシングにおいてギアが果たす役割は非常に大きく、とくに昨今、ハイレベルな争いが繰り広げられているプロトーナメントでは、その傾向はますます顕著になってきています。ですからトッププロたちはトーナメントに臨むにあたって、釣れる可能性がある釣り方に応じたタックルをその数だけ用意します。
とくに、どんなルアーや釣り方がハマるか読みにくい難解なゲームを前にしては、タックルの数は増えるようです。時には10セット以上がデッキに並び、さらにサブを何セットもストレージにスタンバイさせるプロも珍しくないようです。
4月7日から9日までの3日間、奈良県の七色ダムで行われたJBトップ50第1戦における鈴木隆之プロも同様でした。しかし、この時の鈴木プロは、釣り方に迷っていたわけではありません。むしろ釣り方は一択だったのです。つまり、鈴木プロは一つの釣り方に対してタックルを何セットも用意したのです。
その釣り方とは、サイトフィッシング。流行りのライブスコープサイトも行う鈴木プロですが、得意なのはやっぱり肉眼によるサイトフィッシング。クリアな桧原湖で鍛えたテクニックには相当の自信を持っているようです。
既報ですが鈴木プロはこの試合で4位に入賞いたしました。3日間、サイトフィッシングを繰り広げて表彰台に立ったのです。その原動力となったのが臨機応変なタックルセレクト。釣り方は一つでしたが、より細分化された釣りに相応しいタックルを適材適所で導入したのです。
トップ50七色ダム湖初日、単日5位の成績でスタートした鈴木プロ
すでに試合後1ヵ月ほど経過しましたが、このほど同プロにその辺のお話を伺うことができましたので、レポートいたしましょう。
- 冴え渡ったタックルセレクト
あらためてこの試合における鈴木プロの3日間をおさらいします。
1日目 5本 5420g 単日5位
2日目 5本 5385g 単日3位/ 暫定2位で3日目の決勝戦へ進出
3日目 5本 3460g 総合4位
この結果に関して鈴木プロは、「狙った通りの展開にはなりました。魚を探してうまく見つけられたし、食わせることもできました。でも次第にプレッシャーが高まり、厳しくなりました。そんな中でも4位に入れたのは、ベストなタックルを臨機応変に使用したからでしょう。サイトフィッシングといっても、一つの釣り方では対処できなくなっているのが現状です。刻々と変わる自然条件、魚の食い方などに応じたアプローチを心がけなければなりません。ですからタックルも一つで済むわけではありません」。このように語っていました。
2日目は単日3位のウェイトを持ち込み、暫定2位で最終日に進出!
鈴木プロが3日間メインに使用したタックルは以下の通りです。
タックル1
【シャッドテールワーム3.1inch.の5gダウンショットリグ】
ROD:ブラックレーベルBLX SG 661MXB-ST
REEL:STEEZ AIR TW 500XXH
LINE:STEEZフロロクロスリンク12lb.
タックル2
【シャッドテールワーム2.5inch.の2.6gダウンショット】
ROD:リベリオン641UL/LXS
REEL:18EXIST FC LT2500S-XH
LINE:STEEZフロロクロスリンク4lb.
タックル3
【ストレートワーム4.5in.の5gダウンショット】
ROD:ブラックレーベル BLX SG 682MHXB-ST
REEL:STEEZ CT SV TW 700XH
LINE:STEEZフロロクロスリンク12lb.
他にもPEラインを組んだスピニングタックルを始めとして数セット用意しましたが、メインはこの3セット。鈴木プロはこれらのタックルを臨機応変に使い分けて魚を掛けまくっていったのです。
「今回はこの3セットがメインになりましたが、サイトで魚に口を使わせる方法は山ほどあり、それぞれに適した専用タックルというものが必要になります」
鈴木プロはそう力説します。
おそらく山ほどあるという方法は、鈴木プロが永年の経験で培ったものでしょう。ある意味、企業秘密といえるもので、敢えて聞くべきではないと考えます。
- 30m先に10cmの精度でアプローチする!
鈴木プロは試合を振り返り、これらのタックルをどう使い分けたのか、具体的に説明してくれました。
タックル1
【シャッドテールワーム3.1inch.の5gダウンショットリグ】
ROD:ブラックレーベルBLX SG 661MXB-ST
REEL:STEEZ AIR TW 500XXH
LINE:STEEZフロロクロスリンク12lb.
「一番魚をたくさん釣ったのは【タックル1】で、3日間を通して軸となりました。小さいワームをピンスポットに正確に落とせるキャスタビリティーに優れたリール、掛けやすいソリッドティップとデカイ魚を獲る際に心強いバットパワーを持っているロッドがいい仕事をしてくれました。
ブラックレーベルSG 661MXB-STの6ft.6inchという長さも、シビアなスポットを狙うにはちょうどいい長さです。本来はベイトフィネスでネコリグなどを使うのにベストなロッドですが、サイトでも最高に使いやすいといえます」
そして2日目から投入したのが【タックル2】です。
次第にスローになる状況に対応して鈴木プロはこのタックルを導入しました(PHOTO:JBNBC)
タックル2
【シャッドテールワーム2.5inch.の2.6gダウンショット】
ROD:リベリオン641UL/LXS
REEL:18EXIST FC LT2500S-XH
LINE:STEEZフロロクロスリンク4lb.
ご想像通り、高まるプレッシャーに対応してスローダウンさせたシステムと理解できます。
「そうです。2日目、3日目と進むにつれ、食いが悪くなったのでワームサイズを下げました。2日目も一発で食ってくる魚もいましたが、その数が次第に減ったのです。ですから弱めの釣りにシフトせざるを得なかったのです。
また、アプローチも遠くからになります。時には30m離れることもあります。そのうえで、ルアーを落とす場所には10cm以内の精度が求められます。20cmズレると魚は逃げて行きますから。でも、さすがに30m先で10cmの精度を実現するのは厳しい。風も波があるときは、魚の先に投げてワームを置いておき、ボートをバックさせてメンディングするなどのテクを使います。
そんな釣りにこのロッド、リベリオン641UL/LXSがチカラを発揮してくれました。軽くてバランスがいいのでロングアプローチがとても得意です。そして魚を誘う操作性も優れています。チューブラートップですが食い込みもいいし、適度に張りもあるので、30m先で魚が食ってもしっかりアワせられます。
そして18イグジストにクイックドラグを装備することで、掛けた魚とのやり取りにも不安がありません。僕のスピニングリールはすべてクイックドラグに換えてあります。これナシに僕の釣りは成立しません」
さらに鈴木プロはビッグバス専用のタックルも用意しました。ストレートワームをリグった【タックル3】です。
タックル3
【ストレートワーム4.5in.の5gダウンショット】
ROD:ブラックレーベルBLX SG 682MHXB-ST
REEL:STEEZ CT SV TW 700XH
LINE:STEEZフロロクロスリンク12lb.
「体がひと回り大きいメスを狙い撃ちするのに【タックル3】を使いました。4lbラインを巻いたスピニングタックルではちょっと不安ですからね。2日目に2kgクラスを釣ったのもこのセットです。
ブラックレーベルBLX SG 682MHXB-STは、MH(ミディアムヘビーパワー)ですがそれほどガチガチじゃない、どちらかといえばしなやかなロッドです。でもバットはしっかりしているので、デカバス相手のサイトにも適しています。ティップのソリッドもしっかり目です。とにかくこのロッドの曲りが好きなんです」
このように3つのタックルを使い分けて、鈴木プロは3日間の釣りを組み立てました。
「今回の試合では、これらのタックルを使い分けて一応の結果を出すことができました。3タックルで済んだのは少ない方です。それにしてもDAIWAのタックルにはサイトフィッシングひとつにも使い分けができるたくさんのバリエーションがある。これは厳しい試合ではとても嬉しいことです。細かな釣り分けができますから、釣りこぼすことがなく、釣果につながってくると思います。最終日、他の選手が流した後でも釣ることができたのは、釣り方のキモにハマるタックルを持っていたからだと言えます」
さらに踏み込んで、【2種類のソリッドティップと1種類のチューブラーティップをどのように使い分けたのか】も答えていただきました。
「基本的に『バシッ』と掛ける時には張りのあるソリッドティップかチューブラーティップを使っています。今回のように、バイトを見て掛ける時にはそういうテイップの方がいいですね。
ワームの操作性もいい。リベリオン641UL/LXSもチューブラーですがスピニングロッドにしては『バシッ』と掛けることができるロッドです。
逆に『モタッ』と掛けるような時とかショートバイトを拾う時には、ソリッドティップで『スーッ』とスムーズに竿先が入るモデルを選びます。今回は出番はなかったですけど」
適材適所のタックルをサイトフィッシングに投入して鈴木プロは4位に入賞しました
- トータルとしての軽さが何よりの武器
以上のように丁寧に説明してくれた鈴木プロですが、DAIWAのタックルの最高のアドバンテージは「軽さ」だと結論付けてくれました。
「手先を酷使するフィネスな釣りを一日中やり続けるわけですから、軽さは絶対です。感度も大切ですが、タックルによってそれほどドラスティックな差は出ない。しかし【ロッドとリールをシステムさせたトータルな軽さ】は一発で違いが分かります。持っただけでわかります。使ってみればもっとわかります。軽いと釣りやすさが倍加します。すべての行為が繊細にできます。それが厳しいトーナメントで1本のキーパーを獲れるか獲れないかの分かれ目になります」
最後に、6月初頭に開催を控えたJBトップ50小野湖戦への意気込みを語っていただきました。
「小野湖はデカい湖で、雰囲気は亀山湖に似ていますね。魚もデカいけれど、数はそれほど多くない。どちらかといえばライブスコープ向きの湖だと思います。でもカバーもメチャクチャ多い。どこを撃つか迷うほどです。まあ、タックルのアドバンテージを生かして、次戦でも釣ってきますよ」
戦いは6月2日から、他のDAIWAプロ同様、大いに期待したいところです。