特集
橋本卓哉プロ、圧勝!
霞ヶ浦復活を証明!
2023 W.B.S. トーナメント第3戦
- 圧巻のウェイト
去る6月10、11日の2日間、霞ヶ浦・土浦新港を起点に開催されたW.B.S.トーナメント第3戦において、橋本卓哉プロが鯉河健一選手と組んで堂々優勝を遂げました。
昨年はA.O.Y.を獲得するなど、表彰台にも頻繁に立っているので意外に聞こえますが、実は橋本プロのW.B.S.での優勝は4年ぶり。それだけに本人も久しぶりの達成感を味わっているようでした。
周囲に対しても今回の優勝は大きなインパクトを与えました。その要因は2日間8kgオーバーというウィニングウェイト。ここしばらく不調が続いた霞ヶ浦・北浦でしたが、この数字はレイクの復調を示唆するに十分だといえましょう。といっても、試合そのものは相変わらず厳しいもので、全てのチームがよく釣れたわけではありません。ですから橋本プロの勝利は復調気味の霞ヶ浦・北浦において、別格の釣りを繰り広げたから、という分析も成り立ちます。
橋本プロが周囲を「アッ!」と驚かせたのは初日のウェイト。5本4960gという数字は、往年の霞ヶ浦・北浦における釣れ方を髣髴とさせるもの。そして2日目にビッグフィッシュ賞を獲得した1950gも大きなインパクトがありました。
しかも初日のコンディションは微風・ハイライト。多くのチームが苦しむ釣りにくい状況下で、それだけの釣果を叩き出すのは至難の業だったはずです。それでは橋本プロの釣りを振り返ってみましょう。
- 濁りの解釈に一日の長
もともと6月は不得意な季節と公言していた橋本プロ。その理由は「ノーシンカーリグが嫌い」だからです。確かに橋本プロの得意技はスピナーベイトなどの巻き物やテキサスリグなどの攻めの釣り。それで数々の優勝・入賞を果たしてきました。
しかし橋本プロも季節には逆らえません。なんとか釣れる方法を探ろうと何日も練習を重ねました。その結果、霞ヶ浦本湖、東浦の流入河川に大きな手ごたえを感じました。具体的には園部川、梶無川などです。
ここでクローズアップされたのが試合直前に降った大雨。試合初日の霞ヶ浦本湖は、その雨による増水が徐々に平水に落ち着き、さらに減水して平常水位を下回り始めたタイミングで、流入河川は激しい濁りに襲われていました。
しかし橋本プロは川によって状況が違うことを知悉していました。長年の経験からすぐに落ち着く川、いつまでも濁りが消えない川など、川による特徴を把握していたのです。それらのなかで、「濁りが落ち着き始めたころに釣れる川」こそが、今大会で橋本プロがキースポットとした園部川でした。
しかし東浦の奥(北部)に流れ込む園部川には、土浦新港から遠いというリスクがあります。しかも河口から釣れるスポットまで遡上するのにも時間が掛かる。ですから一見、ギャンブル気味のエリア選定のように思われますが、橋本プロに迷いはありませんでした。
目指すスポットに到着してカレント(流れ)の速さに驚くも、さまざまなルアーで探りを入れている間、パートナーが2本のナイスキーパーを獲り、エリア選択の正しさに確信を得た橋本プロもギル系ワームのテキサスリグという正解に辿り着き、次々にグッドフィッシュをライブウェルに収めていったのです。
初日の5本の魚は全て園部川から持ち込んだもの。濁りが落ち着くころに釣れだすという解釈は100%正解だったのです。
それでも2日目の朝は迷いました。しかし「行かないで後悔するよりは」と園部川に直行。そして釣り始めた直後、初日と同じリグに1950gが来たのです。結果的にはこの時点で優勝が決まっていましたが、本人は知る由もありません。その直後、園部川に激濁りが流れ落ちてきて、橋本プロはやむなくキースポットを離れました。
その後は様々なエリアをラン&ガンしましたが2本目は遠く、苦しい時間が続きました。しかし、丁寧な釣りを続けていると12時過ぎにボイルに遭遇! ネコファットのノーシンカーでこの魚を釣って帰着しました。
2日目の昼前、大山の石積を丁寧に探る橋本チーム。遠い2本目を求めて真剣に釣る姿が印象的
- タックルセレクトの妙
橋本プロが今回、ほとんどの魚を獲ったのがギル系ワームの7gテキサスリグ。そのタックルは以下のシステムでした。
ROD:STEEZ C68MH-SV【BADGER 68】
REEL:ZILLION TW CUSTOM BODY 1000XHL-SLPW
・RCSB SV BOOST1000S SPOOL G1/BK
・SLPW SCLザイオンスターD/RD
・23RCSB 90mm カーボンクランクハンドル
・RCS ハイG-Iシェイプライトノブ
LURE:ギル系ワーム7gテキサスリグ
今年はほとんどの魚をこのタックルで獲った
ここで思い出すのが2022年にW.B.S.クラシックに準優勝した時のタックルです。
REEL:ZILLION TW CUSTOM BODY 1000XHL-SLPW
・RCSB SV BOOST1000S SPOOL G1/BK
・SLPW SCLザイオンスターD/RD
・23RCSB 90mm カーボンクランクハンドル
・RCS ハイG-Iシェイプライトノブ
SINKER:STEEZウェイテッドフックSS #5/0 (1/4oz.)
同じギル系ワームを使っていたのに、リグとロッドが違います。この使い分けも橋本プロならではといえます。
クラシック時はワームをスパイラルフォールさせるためにウェイテッドフックを使用し、何かに引っ掛かった時に「聞ける」ソリッドティップのFURYをチョイス。引っ掛かってもプルンと外れないで我慢してくれるロッドだからその釣りが可能になったのです。水温10℃のスローな時期だったからこその選択といえます。
一方、今回の釣りはルアーをカバーに引っ掛けてアクションさせて不規則にワームを動かし、リアクション的なバイトを誘うというもの。活性が高い時期の釣りですが、カバーに出し入れしやすく根掛かりしにくい、という理由でティップに張りがあるフルチューブラーロッドを採用したわけです。こうした使い分けの妙も勝利の要因でした。
- 楽しみなA.O.Y.レース
今回の優勝で橋本プロの年間暫定ランクも一気に上昇。JBトップ50で年間暫定トップに立っている鈴木隆之プロとともに、DAIWAプロスタッフがJBとW.B.S.の両団体でA.O.Y.レースの先頭に立つという凄まじい状況が訪れました。これはもう、カタズを飲んで見守るしかないですね。ちなみに今回の試合では草深幸範プロも6位に入り、ランキングもいい位置に付けています。
というわけで、今回の橋本プロの圧勝劇はゲーム内容の素晴らしさとともに霞ヶ浦復活を感じさせたことも業界にとって大きな意義を持つものといえましょう。
- 速報
6月17日に河口湖で行われたJBⅡ河口湖、そして翌18日に開催されたJB河口湖Aにおいて、DAIWAチームの青木唯プロはそれぞれ優勝、準優勝しました。相変わらず強いですね。
試合に出れば必ずと言っていいほど上位に入っている最近の青木唯プロ。とくに河口湖戦における強さは圧倒的です