特集
戦慄の戦略
- 藤田京弥プロも凄い、青木唯プロも凄い!!
いま、バスフィッシングファンの間では今年、アメリカで劇的に活躍した藤田京弥プロの話題で持ちきりです。それは当然でしょう。エリート昇格初年度で優勝を始めとする数々の好成績を残すのは、空前にしておそらく絶後の快挙という言葉以外に表現不可能だからです。長いエリートの歴史の中でもかなりレアなケースといえるでしょう。B.A.S.S.のサイトでは藤田プロは「Prince」と呼ばれているようです。来年のクラシックはオクラホマのグランドレイク。今からとても楽しみです。
グランドレイクのバスマスタークラシックにおける大森貴洋プロ(2013年)
目を国内に転じてみれば、青木唯プロの勢いが止まりません。今年はトップ50弥栄湖戦を勝って同シリーズ2勝目を飾り、無類の強さを誇る河口湖戦でも勝利を重ねています。最近では8月に行われたJBⅡ河口湖第2戦、JB河口湖A第3戦を連勝しました。この連勝劇、釣りの内容を仔細に分析してみると、青木唯プロの凄みが浮き彫りになって、恐ろしささえ感じるのです。
振り返ってみますと、青木唯プロは8月19日に開催されたJBⅡ河口湖において3本5745gを持ち込み優勝。翌20日に行われたJB河口湖Aでは3本6605gを持ち込み連勝しました。
青木唯プロは8月20日に行われた河口湖A第3戦で優勝しましたが、「その布石は前日のJBⅡ河口湖にあった」と明かしてくれました
繰り返しますが、青木唯プロがこのように連勝しても、もはやニュースにもならない出来事のように感じられます。しかし本人としては今回はすこし異なる感触を得たようで、試合後にこう語っていました。
「フィールドコンディション、他の選手の動き、天気などを考慮し、戦略を立てて優勝することができました。狙いすまして勝っただけに嬉しさも倍です」
というわけで編集部ではその辺の詳しいお話を伺おうと8月下旬のある日、九州の遠賀川でトップ50のプリプラ中の青木唯プロにコンタクトを取りました。
- 河口湖Aの勝利は前日に決まっていた!?
2日間のトーナメントを戦う上での青木唯プロの「本命」は2日目の河口湖Aでした。今年はスケジュールの関係で1戦欠場を余儀なくされたシリーズですが、昨年は4戦4勝(JBⅡと合わせると7戦7勝)という完全勝利を果たしただけに、誰にも負けないという自負があったのでしょう。
そして青木唯プロは「狙いどおり」今回も河口湖Aを勝ちました。その要因を同選手は「初日に決まっていた」というのです。
「初日に決まっていた」......当然編集部ではこの理由を聞いてみました。すると青木唯プロは少し時間をおいてからこう答えてくれました。
「初日の釣りが全てでした。2日目の勝利は初日に決まっていたようなものです。わかりやすく言うと、初日の早い時間にリミットを揃えることが出来たので、その後は自分の思い描いた作戦を繰り広げることが出来たのです」
「思惑通り」JBⅡ河口湖に勝った青木唯プロ。「とても上手くいきました。パートナーに釣っていただいたのも嬉しかった」と青木プロ
もう少し分かりやすく説明してもらいました。
「初日の9時を過ぎると、翌日の試合に出場する選手がプラクティスで湖に出てきます。その選手たちに自分の釣りを見られたくなかった。とくに本命ポイントでは見られたくなかった。
そのためには早く勝てるウェイトを確保しなければなりません。それが上手く行ったのです。30分で5kgオーバーのリミットを達成できたのです。釣っている場面を見られることもありませんでした。
ですからその後は翌日のプラを行ったり、あちこちの大場所に浮く自分の姿を見せたり、陽動を含めていろいろ仕掛けることが出来たのです」
このように青木唯プロはわかりやすく解説してくれました。それにしても恐るべき戦略だと言えましょう。
- 作戦をスムースにさせた鉄板タックル
こうした青木唯プロの卓越した戦略をサポートしたのがDAIWAタックル。今回も自らの手足のように操ってくれました。
青木唯プロの得意技といえばライブスコープシューティング。トップウォーター、ミドスト、フットボールを使い分けました。
今回も必勝の河口湖タックルが火を噴きました
タックルは
トップウォーターに
REEL: AIRITY LT 2500S-XH
LINE:モアザン12EX0.8+STEEZフロロX'LINK 7lb
ミドストに
REEL: AIRITY LT 2500S-XH
フットボールに
REEL: ZILLION SV TW 1000XHL
という使い分け。フットボールで1本、トップウォーターとミドストで5本ずつ魚を獲ったようです。
こうして、したたかに河口湖の試合を釣り切った青木唯プロ。これからJBのビッグゲームが続きますが、今年はバサー・オールスタークラシックに出場することが今から話題になっています。
本人は「スケジュール的に準備期間があまりとれないし得意な水域ではないので、うーん、という感じですが、少なくとも面白いゲームができればいいなと思っています」とプラの手を休めて語ってくれました。
というわけでこの秋、その活躍がますます期待される青木唯プロです。
この秋の活躍がますます楽しみな青木唯プロです